バーゼルⅢと流動性リスク管理ソリューション:法令遵守と収益性のバランス
Abstract
多くの金融機関にとって、バーゼルⅢの要件を満たすことは難しい課題です。バーゼルⅡで定められた自己資本比率を満たしている欧米の銀行でも、バーゼルⅢへの準拠はハードルが高くなっています。
銀行は、バーゼルⅢの要件への完全準拠に移行するタイミングを慎重に決定する必要があります。早期に準拠する銀行はその実力と健全性を市場にアピールし、競争上の優位を得るでしょう。一方、準拠時期を遅らせる銀行は、その分だけ有利な条件で業務を行え、短期的には収益を確保できるでしょう。
セレントの最新レポート「バーゼルⅢと流動性リスク管理ソリューション: 法令遵守と収益性のバランス」は、銀行がITベンダーを選定する前に、バーゼルⅢに関して、何を明らかにしておくべきかを考察し、また、バーゼルⅢの各カテゴリーに対応するITベンダーとそのシステムについて詳しく説明しています。レポートでは、リスク管理体制の構築・改善とバーゼルⅢへの準拠を可能にするITソリューションを提供する9つのベンダーを紹介しています。その中には、バーゼルⅢの複数の要件に対応する複数のソリューションを提供するベンダーがある一方、特定の機能に特化し独自のソリューションを提供しているベンダーもあります。
銀行はバーゼルⅢに対応可能なシステムの構築、選定または統合を進めるにあたって、自らの達成目標を明確に定める必要があります。すなわち、進化する自己資本比率規制への準拠を通じて最終的にリスク管理能力を備えるまでの長期プロジェクトを見据え、方針、規則、指針および標準を定めた上でのITアーキテクチャを設計する必要があります。
「従って、バーゼルⅢへの準拠は単なる法令遵守ではなく、全社規模のリスク管理プロジェクトとして捉えるべきです。その過程では、組織全体のリスク管理を徹底的に統合する必要があるでしょう」とセレントのアナリストでレポートを執筆したメディ・アガミは述べています。
レポートでは、セレント独自の「ABCDベンダービュー」を使ってこの分野を手がけるベンダー9社のソリューションを評価し、ランク付けしています。これは、①テクノロジーの先進性②機能の幅③顧客基盤④顧客サービスの充実度―という4つの要素に基づいて各ベンダーの相対的な市場ポジションを視覚化したものです。レポートで取り上げたベンダーはAxiom Software Laboratories、IBM Algorithmics、Kamakura、Misys、Moody’s、Oracle、PolarisFT、SunGard、 Wolters Kluwerの9社です。