ある銀行は国を変えた:M-Shwariのケーススタディ【全訳版】
A Case Study of Commercial Bank of Africa’s M-Shwari Initiative
Abstract
(このレポートは2014年6月17日に"How One Bank Changed a Nation
A Case Study of Commercial Bank of Africa’s M-Shwari Initiative" というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2014年8月25日に発行しました。)
「M-Shwari」はケニアのマス市場向けバンキングプラットフォームで、モバイル専用の完全なストレートスループロセッシング(STP)を実現させたサービスです。M-Shwariは導入初年度に600万人を超える顧客を獲得し、ケニア全土で銀行口座を持たない人に金融サービスを提供する機会を(金融包摂)飛躍的に拡大させました。
エムペサ(M-PESA)は世界で最も良く知られ、最も広く普及しているモバイル送金サービスといえるでしょう。ところが、M-Shwariについてはほとんど知られていません。これはCommercial Bank of Africa(CBA)と Safaricomが連携し、エムペサの機能を単なるモバイル送金からケニアのマス市場向けの総合的なモバイルバンキングサービスへと拡充させたものです。
セレントの最新レポート「ある銀行は国を変えた:M-Shwariのケーススタディ」は、①M-Shwariの構想はいかにしてたてられたか?②Commercial Bank of Africaが迅速なプラットフォームの開発によっていかに先発者利益を確保したか?③国民の多くが正式な銀行預金や貸し出しサービスを受けたことのないケニアでCommercial Bank of Africaはいかに貯蓄という考えを広めたのか?―について検証しています。
「M-Shwariはケニア特有の事情から開発されたサービスですが、他の市場のモバイル決済プロジェクトにもヒントを与える優れた実例といえるでしょう。CBAのM-Shwariプロジェクトはケニアにおける金融サービスの普及を飛躍的に拡大させるとともに、同行の目覚ましい成長にも寄与したのです」とシニアアナリストでレポートを執筆したボブ・メーラは述べています。
レポートではまず、ケニア市場と高い評価を得ているエムペサの送金サービスについて概説し、エムペサの成功を足がかりにしていかにM-Shwariが開発されたか、そのプロジェクトチーム、基盤となるテクノロジー、商品のポジショニングと投入方法を検証しています。さらに初年度の目覚ましい実績を紹介し、市場における差別化と影響力の実現を目指す金融機関にとって参考となるヒントを示します。