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ROI分析で業務・IT部門の協調を実現

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2003/12/01

Abstract


プロジェクトの評価手段として使われるROI分析は、とかく煩わしいプロセスであると思われがちです。しかし、セレントは、IT部門の幹部がROI分析の意義を見直し、業務部門とIT部門の協調を確立するための重要なツールとしてこれを捉えることを提言します。

現在のようにIT投資が抑えられている環境下では、「ROI」(投資収益)が何よりも重視されます。別の言葉で言うと、ITプロジェクトの承認を得るためには、ROI向上の見通しを示せるかどうかがカギである、と言えるでしょう。そのため、企業の最高幹部たちはプロジェクト候補の評価分析に並々ならぬ力を注いでいます。しかし、企業のIT部門の中には、自力で有効な分析を行なえるだけの経営分析スキルを備えていないところも多く、ROI分析を重荷に感じているケースが少なくありません。このようなケースでは、企業内のフラストレーションが溜まる一方、コストと時間をかけて行なった分析から何の成果も得られないという結果になりかねません。ROI分析を導入する意義の1つは業務・IT部門の協調を確立することにあると考えられますが、この点が見落とされているのが実態と言えるでしょう。業務・IT部門の協調という観点から見直すことによって、これまでは経理担当者から強要される重荷としか見ていなかったROI分析も、ITの効率性や重要性を向上させるための強力なツールとして認識できるようになるでしょう。

本レポートの主要著者でセレントの保険グループのマネージャー、マシュ-・ジョセフォウィッツは、「保険会社が成功するためには、業務部門とIT部門の協調は欠かせない要因です。これは、ITを含む全部門の最高責任者にとっても重要な関心事となっています。」 と述べています。

保険会社のCIO/CTOを対象に行なったセレントの最近の調査でも、業務・IT部門の協調はIT化推進委員会 (プログラム・オフィス)における最大の関心事であるという結果が出ています。さらに、業務部門の最高責任者がこのような委員会のメンバーとなるケースがますます増えています。

ジョセフォウィッツによると、「整合性のとれたROI分析では、プロジェクトの成果を判断するための定量的メトリクスを相互合意のもとに設定するため、これを使ってプロジェクト管理を進めたリ、プロジェクト終了後に客観的な評価を行なうことができます。失敗と判断されたプロジェクトの多くは、あらかじめこのようなメトリクスを設定しなかったことが最大の理由となっているのです。」

本レポートは、業務・IT部門の協調という観点に基づいてROI分析の課題を検証するとともに、このような観点からみれば、従来は煩雑で非効率的なプロセスとみなされていたROI分析が、実は強力な経営戦略のツールになり得るという点を指摘しています。また、ROIが重視される現状や、ITプロジェクトのスポンサーを巡る事業環境についても分析しています。さらに、ROI分析プロセスの概要を示したうえで、セレントが開発した簡略的分析手法である「Classic Six Questions」を紹介しています。ROI分析に基づくその他のプロジェクト評価手法の概要にも触れています。

さらにレポートでは、ITプロジェクトの成果を判断するためのメトリクス設定の重要性や、そのプロセスでROI分析が果たす役割についても検証しています。また、ROI分析においてベンダーが担うべき役割にも注目しています。レポートの結論としてこれら重要ポイントのサマリーを掲載しました。

本レポートは6つの図表を含む22ページから構成されています。