支店のセルフサービス化をめぐる難問:米銀はどれを選ぶか:セレント支店改革調査シリーズ パート3
Celent Branch Transformation Panel Series Part 3
Abstract
これからの銀行支店デザインにおいては、teller podsに代わって行員のアシスト付きのセルフサービスマシンを採用するケースが増えるでしょう。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 支店内のセルフサービスとして、最も可能性の高いのは? |
2 |
セルフサービスは窓口の役割をどの程度代替または補完するようになるか? |
3 | 取引のセルフサービス化が進むと、窓口のキャッシュリサイクラーはどうなるか? |
本レポートでは、第3回目となる支店改革調査で、銀行が窓口を通じた取引をセルフサービスに切り替える意向があるかについての結果を分析しています。
2015年6月に実施した調査では、回答した銀行のうち3分の2は、将来の支店デザインにビデオテラー以外のセルフサービスマシンが含まれる可能性が「高い」または「非常に高い」と答えました。一方、ビデオテラーマシンについて同様の見方をしている回答者はこれを下回る46%となっています。10月の調査でもこのテーマに関して質問したところ、既存および新規支店の設計でいずれもセルフサービスの導入を承認しているとの回答が得られました。
「支店チャネル改革の初期段階では、どの銀行もこれからの支店デザインには必ずサポート付きのセルフサービスを組み入れようとしています。銀行は支店でのセルフサービス採用に積極的な考えを示してはいますが、それが必ずしも実際の採用の拡大につながるとは限りません。まずは、様々なテストと実験を行う必要があるからです」とボブ・メーラ は述べています。
調査では、ほかに以下のような点が明らかになりました。
- 対面型(タブレット対応)と遠隔型(ビデオ対応)の両方で支店のセルフサービス化を進める意欲を強く示す回答が多かった。
- ビデオテラーは様々な使用事例に対応するため、単独または対面型テラーと併用で導入される可能性が高い。ビデオインフラを構築する場合は、窓口の補助と中小企業との取引の両方で利用することになる。
- 銀行は、窓口の代わりにセルフサービスマシンを設置する意向である。支店のセルフサービス化が進んでも窓口が完全になくなるわけではないが、従来の窓口は大部分が「teller pods」に置き換えられ、その数は減少する。
- キャッシュリサイクラーはこれまで大量のキャッシュを取り扱う少数の支店で使われていたが、今後は支店の通貨管理における標準になるとみられる。
- 支店チャネル改革について理解するのに2~3年、それを広く実施するまでにはさらに年数がかかるとみられる。その頃には、デリバリーモデルを再度調整する時期に来ているだろう。
レポートでは過去の調査の主な結果を見直し、セルフサービスチャネルの導入のために銀行が講じている手段を分析し、支店におけるセルフサービス機器の利用状況、銀行が、行員の支援サービスに関しては対面(タブレット)とビデオという相反するアプローチを導入したい意向であることを紹介しています。さらに、取引のセルフサービス化が進むにつれ、窓口が今後どのような役割を担うか考察しています。銀行は窓口を完全にセルフサービスマシンに置き換える意向なのでしょうか。支店の自動化が進み、配置される行員数が減るなか、各行はどのような通貨管理計画を立てているのでしょうか。幅広く設置されているキャッシュリサイクラーは今後どうなるのでしょうか。最後に、試験的デザインの採用前・中・後の各段階で不確実性に対処するための提言を示しています。