バーチャル金庫室(外部委託資金管理センター):現金以外にも広がる対象
Abstract
米国銀行では、年間1,000億米ドル(約11兆4,000億円)を超える現金や小切手が決済され、現金保管管理業務をアウトソーシングする動きが広がっています。このような状況下、リモート預金サービスや外部の資金管理センターにおける小切手画像採取サービスが、今後2年間にわたって、大手小売業者と銀行間の関係を強化していくでしょう。
ここ数年、銀行は様々な課題に直面してきました。その中で、多くの銀行が後回しにして来たのが、昔ながらの現金保管管理業務を見直すことでした。結局のところ「金庫室」はシステム導入に適した対象ではありませんでした。但し、一部の銀行は、物理的なインフラ投資をすることなく新たな市場を開拓するために、現金保管管理業務のアウトソーシングに目を向けています。このような「バーチャル金庫室(=外部委託の資金管理センター)」サービスを提供するのは、全国規模で現金輸送業務を展開する大手現金輸送会社(現金輸送警備会社)です。
バーチャル金庫室に対する関心は高まり続けています。セレントの最新レポート「バーチャル金庫室(外部委託現金管理センター):現金以外にも広がる対象」では、これまで現金のみを対象としていたバーチャル金庫室が、小切手処理にも利用され始めている現状を明らかにしています。
今後、銀行は現金保管管理業務の改革にあたって、①既存の古い現金保管インフラに大規模な投資を行う、②現金保管業務を現金輸送業者にアウトソースする、の二者択一に迫られるでしょう。「預金サービスを巡る競争がますます激化する中で、無対策な銀行は完全に競争力を失いかねないだけに、いずれかの選択肢を選ばざるを得ないでしょう」と、セレントのシニアアナリストで本レポートの執筆者であるボブ・ミ-ラは語っています。「FRBが新たに現金の再循環政策を打ち出したこともあり、銀行の多くは現金輸送業務の見直しを迫られる見通しです。この際、銀行は現金管理センターにおける小切手画像採取の有効性について検討すべきでしょう。小売業者の顧客獲得に成功すれば、早晩その必要が生じるからです。」
また、先行する現金輸送会社に追随して、銀行は小切手と現金業務の改革関連への投資をますます増加させるでしょう。特に、各地域の現金管理センターにおける小切手画像採取サービスは、顧客獲得に大いに寄与するはずです。小切手画像の採取処理業務が集中処理センターから各地に分散されるにつれて、これまで知られていなかった現金管理センターにおける画像採取が一般化するでしょう。こうした構想はもはや仮説の段階ではありません。現金輸送会社数社は、すでに自社の現金管理センターで画像採取およびチェック・トランケーションを行っています。中でもLoomis, Fargo & Co.はネットワーク全域でこうした業務展開を促進しています。レポートには、同社の実例をケーススタディとして掲載しています。
本レポートは16図と9表を含む全36ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年4月28日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。