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患者からの医療費徴収は小売業の手法に近づく

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2009/02/17

Abstract


ヘルスケア市場のコスト構造が大幅にシフトしていることを受け、医療費を徴収する過程で医療機関にかかる負担が増しつつあります。 一部の支払者(医療保険を手がける保険会社や管理者)から徴収するだけでなく、比較的関係が希薄な個々の消費者からの徴収も余儀なくされています。


ヘルスケア市場の大規模な変化は、医療機関(病院、開業医、研究室など)がより本格的に医療費徴収に取り組まざるを得なくなったことを明示しています。 医療機関側はこうした変化をなかなか認識できず、診察時に医療費を徴収しない、また徴収するとしても遠慮がちになってしまうといった従来のカルチャーから抜け出せずにいます。 2012年には医療機関の収入源の30%を患者が占める見通しですが、大多数の医療機関では医療費を診察時に徴収する体制が整っていません。 すなわち、今日米国で消費者向けサービスを提供する業界のうちヘルスケア市場は最も小売業と異なる構造を持つ業界といえるでしょう。

しかし、医療費負担が消費者にシフトする流れが加速する中、患者から医療費を徴収する体制への移行は避けられなくなっています。 消費者が医療機関の収入源に占める割合が上昇するにつれ、消費者から医療費を徴収できない状況が続くことは医療機関にとって経営破たんするのも同然の事態といえます。 第三者の支払者の存在が本格的なリテール環境の進化を阻んでいるとはいえ、医療機関は「小売業」に近い医療費徴収方法をより積極的に導入する必要があります。 具体的には透明性が高く、迅速で、より重要なのは診療時に必ず医療費を徴収/決済できる方法です。 この結果、消費者の行動および姿勢にはさらに重要な変化がもたらされるとみられます。消費者は、かなりの金額を前払いする(あるいは支払う義務がある)という小売業に近い医療環境に慣れていくしかないでしょう。 医療機関が支払い能力の確保を求めていることもそうした流れを決定づけるとみられます。

こうしたニーズを背景に、次世代の医療機関向け収益サイクル管理(RCM)ソリューションが市場に投入されています。 これらのソリューションは他の業界で採用されているコンセプトを取り入れてヘルスケア業界の「小売業化」を進め、医療費徴収率の向上や処理コストの低減を図るものです。様々な機能のうちリアルタイムの査定や指定された決済口座に合わせた「最適なタイミング」での査定は、診察時の医療費徴収率を向上させる上で特に有効な機能です。リアルタイム査定には限界がありますが、「最適なタイミング」で査定を行うことで保険金請求処理と査定プロセスの円滑化が可能になるとみられます。

レポートの主な論点は以下の通りです。

  • 各医療機関が患者から徴収する医療費は2014年には非加重平均ベースで317,000ドルに達するとみられる。
  • 患者に支払い義務のある医療費が医療機関の収入全体に占める割合は2007年の12%から2012年には30%に上昇するとみられる。
  • 2014年には外来診療所(歯科を除く)と病院の37%が医療機関向けRCMソリューションを導入し、リアルタイム査定や指定口座決済といった機能を使って医療費の確実な前払いを実現する見通しである。


「成長が見込まれるこの分野は、銀行にとっても明らかなビジネスチャンスといえるでしょう。 銀行は医療機関との既存の関係を生かし、チャネルパートナーとしてベンダーの医療機関向けRCMソリューションの販売をサポートできます。 逆に、RCMのチャネルパートナーの顧客に対して銀行商品のクロスセルを行うことも可能です。 銀行が提供する商品には伝統的商品のほか、マーチャントカードの取得、改善されたリモートデポジットキャプチャー/金庫、患者および医療機関の財務管理などRCMソリューションを補完する商品・サービスも含まれます」 と述べるのはセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでレポート執筆者のレッド・ギレン です。

本レポートでは、医療機関向けRCMソリューションの成長見通しの根拠となる要因やトレンドを分析しています。また、この分野に進出しているベンダーの概要もまとめています。

本レポートは17図と5表を含む49ページで構成されています。