TECHNOLOGY TRENDS PREVISORY 2024: キャピタルマーケッツの金融市場インフラ/ ポストトレード編
テクノロジーを活用した成長
Abstract
世界のマクロ経済環境を受けてキャピタルマーケッツが困難に直面する中、金融市場インフラ (FMI) 企業がテクノロジー戦略を決定する際、投資利益率 (ROI) に再注目している。イノベーションと変革に向けて適切に投資することがこれまで以上に重要になっており、そのためには、ビジネスケース、ワークフロー、マーケットストラクチャー、規制の変更について理解した上で、テクノロジーを有効に活用する必要がある。
キャピタルマーケッツ業界は、金利の上昇、継続的な規制の変更、地政学的緊張など、多くの破壊的要因の影響を受け続けている。
市場-FMI企業にとっては、新規上場/ 新規公開株や取引執行の減少傾向に加え、パンデミック後の取引量と収益の減少 (一部では「正常化」と呼ばれている) などに影響を感じることができる。
地政学面-2024年は、世界各国の選挙をめぐる緊張、戦争、世界不安、気候変動に起因する自然災害など、世界の市場に影響を及ぼす様々な不確実性が続く見通し。
総合的に考えると、これらの要素は2024年も引き続き市場を大きく圧迫し、市場参加者は今後も規制の変更やシステミックリスク、サイバーセキュリティに重点を置くことが予想される。現在は効率性とコスト抑制に重点が置かれているが、セレントの調査では、これはIT支出の削減にはつながっていないことが明らかになった。近代化や自動化による経費節減であれ、新製品や新サービスによる競争優位の構築であれ、複数のテクノロジーの急速な変化と融合は、キャピタルマーケッツにおけるIT支出が増加し続けていることを意味している。
有機的なビジネスの成長が困難なため、FMI企業は、新たな顧客分野を開拓したり、新たな商品を提供することで、新たな収益成長源を模索している。その際、ほとんどのケースで収益の成長を実現するイネーブラーやカタリストになるのはテクノロジーである。
本レポートでは、これらのテーマが2024年以降のセルサイド企業の事業にどのように影響を及ぼしているか、あるいは及ぼす可能性があるかについて検証する。これらのテーマは、セレントの継続的な調査および業界幹部との先を見据えた議論に基づき、キャピタルマーケッツチームが特定したものである。本レポートでは、これらのテーマが2024年以降のFMI企業の事業にどのように影響を及ぼしているか、あるいは及ぼす可能性があるかについて検証する。また、各テーマに関連する主要なテクノロジーについても紹介する。