2011年 アジア・モデルインシュアラー:保険会社のテクノロジー有効利用に関するケーススタディ
Abstract
(このレポートは2011年1月13日に”Celent Model Insurer Asia 2011:Case Studies of Effective Technology Use in Insurance”というタイトルで英文で発表されましたが、日本語版を2011年6月3日に発行しました。)
セレントのモデルインシュアラー・アワードは、世界の保険会社がテクノロジーの分野で実践している最高レベルのベストプラクティスを表彰するもので、いまや業界スタンダードとして認知されるようになってきました。アジアでは地域固有のビジネス課題が存在するため、保険会社向けテクノロジーも独自の経緯で進化しています。そこでセレントは、アジア独自のプログラムとして「セレント・アジア・モデルインシュアラ―」を立ち上げ、アジア太平洋地域の保険会社が最近導入したプラクティスの中から、ベストプラクティスとして、18の「モデルインシュアラーコンポーネント」を選出しました。
セレントのモデルインシュアラー調査の目的は、「保険会社が最新テクノロジーを使って全ての業務を最適化した場合、どのようになるだろうか」という一見単純な疑問に対する答えを見つけることにあります。
もちろん、「モデルインシュアラー(モデルとなるべき保険会社)」はひとつに限定されるわけではありません。どの保険会社も、テクノロジーに関しては成功と失敗の両方を経験しています。それゆえこの調査では、実際にテクノロジーを有効活用している事例をできる限り多く集め、その中から優れた実践手法を「モデルインシュアラー・コンポーネント」(理論上のモデルインシュアラーが採用しているITシステムとプラクティスの構成要素)として紹介します。
セレントの最新レポート「2011年 アジアモデルインシュアラー:保険会社のテクノロジー有効利用に関するケーススタディ」は、保険会社18社が取り組んでいるテクノロジープロジェクトを「モデルインシュアラー・コンポーネント」に選定しました。これらはテクノロジー利用に関するベストプラクティスで、商品定義、販売、引受け、保険契約管理、サービス、保険金請求、インフラストラクチャーなど、商品と契約者のライフサイクルにおける重要分野をカバーしています。
2011年 アジア・モデルインシュアラー・コンポーネント
• Apollo Munich Health Insurance Company Ltd:全てのバックエンドシステムとの統合により、医療保険商品のライフサイクル全般のSTPをサポートするワークフロー対応のシステムを導入
• Aviva-COFCO Life Insurance Co., Ltd:クラウド・コンピューティングの導入により、コスト削減と柔軟性向上を実現
• AXA China Region Insurance Company Limited:Webベースのテクノロジーソリューションの導入による販売サービスおよび販売力の向上と商品化のスピードアップ
• China Pacific Insurance (Group) Co., Limited: 中国全域のコールセンターシステムの集中化により、生命/損害保険事業のニーズに対応
• China Pacific Life Insurance Co., Ltd.: システムの合理化、標準化および統合により、一元的で安定性に優れ、信頼性が高く、効率的な技術基盤を実現
• ClearView Wealth Limited: Webベースのテクノロジーソリューションの導入により、引受けおよび保険証書発行プロセスを直接メールとコールセンターによるフォローアップで処理し、外部またはマニュアル業務の介入を排除
• Generali China Life Insurance Co., Ltd.: 1回のサインオンで複数のシステムにアクセス可能な統合テクノロジープラットフォームの導入
• ICICI Prudential Life Insurance Company:特定の医療保険商品に関する保険金請求業務を処理するWebベースシステムの導入
• IndiaFirst Life Insurance Company Limited: 簡潔でコスト効率性と拡張性が高く、実績のあるシステムへの投資を通じてコスト削減と商品化スピードの短縮を実現
• Insurance House Group Pty Ltd.: オーストラリアのオンライン直販および代理店販売市場向けにオールインワン・ソリューションを導入
• ネクスティア生命保険株式会社: 引受けおよび支払いの自動処理システムを含む、Webベースによるリアルタイムの保険契約システムの導入
• PICC Health Insurance Company Limited: 社会医療保険の接続プラットフォームの導入により、保険金請求処理の自動化と保険金支払に関するリスクの管理を強化
• Real Insurance:顧客との関係構築のためにソーシャルメディアのチャネルを導入し、そのやりとりを新規戦略の構築に反映
•Reliance General Insurance Co. Ltd.: モバイルテクノロジーを使って外部からでも社内システムに接続可能な自動車保険の事前査定システムを導入し、新規契約の引受け業務を合理化
• Royal Sundaram Alliance Insurance Company Limited: エンジンを外部に持つワークフロー対応の保険契約管理システムを導入し、商品設計やビジネスルールをサポート
• 損害保険会社5社による自賠責保険のサービス効率化に向けたプロジェクト
- 東京海上日動火災保険
- 損害保険ジャパン
- 三井住友海上火災保険
- あいおいニッセイ同和損害保険
- 日本興亜損害保険
• Transport Accident Commission (TAC), Victoria, Australia:作業量と期間に対するリターンの向上、慣習法に基づく保険金請求の管理強化、顧客満足度の向上のために、保険金請求管理プロセスを新たな回収モデルに転換
• Wesfarmers General Insurance Limited: 保険契約のライフサイクル全般をサポートするマルチプロダクト/マルチチャネルモデルの導入.
「テクノロジーの有効利用は、テクノロジーそのものを追及することより重要です。これはモデルインシュアラー・コンポーネントに選ばれたプロジェクトの共通点であり、受賞各社は評価されてしかるべきでしょう」とセレントのアジア金融サービスグループのシニアアナリストでレポートを執筆したウェンリ・ユアンは述べています。
「セレントの『モデルインシュアラー』は世界的に認知されていますが、今年は初めてアジア地域に対象を絞りました。多数の応募の中から選ばれた受賞プロジェクトは、アジア地域における最先端の保険業界向けテクノロジーを象徴するものであると確信しています」とセレントアジアのシニアバイスプレジデントであるニール・カタコフは述べています。
セレント保険チームは2010年6月にモデルインシュアラー・コンポーネントへの募集を開始し、各プロジェクトのビジネス成果に基づいて18の受賞プロジェクトを選出しました。レポートでは、各モデルインシュアラー・コンポーネントのビジネスドライバー、テクノロジー環境、成功指標の概要などをまとめています。
このレポートは18の保険会社のプロフィールおよび2図2表を含む70ページで構成されています。