2023年 リテールバンキングにおけるITの戦略と優先事項
2023/07/20
AIとクラウドでアジリティを向上
Key research questions
- 今年のIT支出を牽引している優先事項は何か?
- 商品とITの最重点投資分野はどこか?
- 銀行は生生成AI、BaaS、エンベデッドファイナンス、オープンバンキングにどの程度注力しているか?
Abstract
リテールバンクにとって、アジリティは今年のテクノロジー分野における特に重要な優先事項の1つとなっている。依然として困難な業務環境が続いているが、多くのリテールバンクは新たな機会を活用するためにどのように着実に取り組むべきかに焦点を当てている。
こうした状況には、リテールバンク業界全体で進むカルチャーの変化が反映されている面もある。フィンテック分野の成長は、間違いなく、既存のリテールバンクが商品の強化とイノベーションの提供について新たな考えを取り入れるきっかけになった。今年に入ってからのクラウド技術の導入ペースの速さ、AI関連の活動の急増、オープンエコシステム構築プロジェクトへの投資はすべて、銀行の意識が大きく変化していることの現れである。さらに、多くのリテールバンクが生成AIなどのテクノロジーを積極的に試験導入している。
こうした優先事項への取り組みは、IT投資に明らかに重点が置かれている状況に反映されている。報告によると、今年は規模を問わずあらゆる金融機関でIT予算が確実に増加しており、平均で3.6%増加すると予想されている。2024年を見据えた業界の景況感は、来年もIT支出が増加し、しかも伸びが加速することを示唆している。
リテールバンキング業界の戦略的および商品レベルにおけるテクノロジーの優先事項を明らかにするために、セレントは再びテクノロジーのインサイトと戦略に関する調査を実施した。セレントはリテールバンキング業界のシニアエグゼクティブ228名からインサイトと見解を収集し、今後のITの優先事項の上位項目および最も大きな変化が予想される商品とプロセスについて詳細な情報を得た。
主な調査結果:
- リテールバンクの75%が12カ月前よりも顧客の獲得・維持が難しくなっていると回答している。
- 57%がIT戦略の最も重要な3つのドライバーの1つとして、スピードとアジリティの向上を挙げている。
- 45%がデジタル口座開設のエクスペリエンスの改善に投資しており、これは最も一般的な商品の最優先投資事項分野となっている。
- 75%が現在、オープンエコシステム (オープンバンキング、BaaS、エンベデッドファイナンス) に関与する明確な戦略を持っている。
- 41%が現在、生成AIの評価または試験導入を行っている。