混乱する自動車金融市場における競争と顧客獲得
2023/02/05
将来の自動車金融市場で競争するうえで重要になる柔軟なローンプライシングテクノロジー
Abstract
車両(自動車、オートバイ、ボート、レジャー用車両)ファイナンスも、デジタル化、デジタル競争、顧客の期待の高まりというトレンドによる破壊的変化と無関係ではない。車両商品と金融サプライチェーンの両方がデジタル化・コンポーネント化され、これまでの取引関係やテクノロジーシステム、ローン商品/価格設定モデルから切り離される中、既存の車両ファイナンスのビジネスモデルに疑問が呈されるようになってきた。
自動車用半導体チップの供給制約、金利の上昇、新車および中古車価格の上昇を受け、多くの市場や商品分野では消費者の需給が停滞している。こうしたビジネス環境やテクノロジー環境の中、あらゆるタイプの自動車ローン会社(リテールチャネルおよび間接チャネルで事業を展開する銀行、クレジットユニオン、キャプティブファイナンス会社)が、自社の事業成長目標、競争、テクノロジーの制約という3つの課題に加え、ローンの収益性要件への対応も余儀なくされている。
本レポートでは、テクノロジーと競争によって、車両ファイナンス会社による顧客への自動車ローンの販売、価格設定、引受およびクロスセルの方法や、ローン顧客を維持する方法がどのように変化しているかについて評価する。これらのトレンドが真に意味しているのは、最新のデジタルファーストの車両ファイナンス事業を構築するために、貸し手はローン商品の価格設定と処理・決定ペースの向上を実現し、処理コストの削減を可能にするようなテクノロジーを活用する必要があるということである。そのためには、長期的なデジタルトランスフォーメーション戦略を実行して競争上の差別化を維持する必要がある。