資本市場におけるテクノロジートランスフォーメーション:オープンプラットフォームが切り拓く新境地【日本語】
2020/04/29
Eiichiro Yanagawa
セレントは、「証券市場における次世代テクノロジーの動向」への対応状況を把握するため、金融機関、ITベンダーを対象にオンラインサーベイと個別インタビューを継続的に実施しています。2019年秋から2020年年初に実施した「資本市場におけるオープンプラットフォームの動向調査2019」には、50を超える金融サービスとITのプロフェッショナルが参加しました。本稿はそのサーベイ結果と含意を発表する、「証券テクノロジー革命」シリーズの第8弾です。
Key research questions
- 市場参加者はどのようにしてイノベーションに取り組んでいるか?
- オープンプラットフォームの認知度と取り組み状況は?
- オープンプラットフォームに寄せる期待は?切り拓かれる新境地とは?
Abstract
2020年、我々は今COVID-19の難局に立ち向かっています。キャピタルマーケッツのみならず、ビジネス全般から個人消費、医療、教育など、社会生活のすべてを根本的に見直す必要に迫られています。市場のボラティリティと変化のスピードは想像を超え、その最終的な規模と出口は見えません。今信じることはただ一つ、その革新はテクノロジーがドライブすることです。
日本とAPACの市場参加者は、新興テクノロジーへの取り組みを加速しています。前回の「日本の証券市場における次世代テクノロジーサーベイ」では、RPA 9割、AI/ ML(マシンラーニング)8割、DLT(分散型台帳技術)/ ブロックチェーン 7割、クラウドは3/4の回答者がその評価に取り組んでいました。新たなテクノロジーを商用に展開する機は熟していると言えます。
セレントはこれまでも、資本市場におけるこうした新技術の隆盛に対して、様々なイノベーションモデルを提唱してきました。過去のセレントレポート「証券決済革命」シリーズにおいては、「インフラ革命へのパラダイムシフトとデジタル資本市場」、「モジュラー・フィナンシャルサービス」、「システムアーキテクチャとITマネジメント、ソーシングモデルの革命」を提案し、「マイクロサービス」によるソフトウェアエンジニアリング改革と、「API金融サービス」によるビジネスモデル革新の必然性を主張してきました。そうした提唱を象徴するコンセプトが「オープンプラットフォーム」です。