市場監視におけるAIの役割拡大
2016/09/19
アンシュマン・ジャスワル
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 市場監視の分野で、コグニティブ・コンピューティングとAIの役割はどのように進歩したか? |
2 |
市場監視システムの特性のうち、AIが最も適しているのは? |
3 | AIとマシンラーニングの役割は、市場監視システムベンダーによってどのような違いがあるか? |
テクノロジーの進化のレベルを考えると、自動化のさらなる進展は不可避といえるでしょう。コンプライアンスを実践するためには入手可能な情報に基づく分析や意思決定をめぐり常に人的介入が必要であるのに対し、大量の構造化および非構造化データを処理するためには高い演算能力が求められます。市場監視プロセスの自動化に取り組むことで人の監督下にない監視機能の重要性を強調している一部の主要ベンダーにとって、マシンラーニング(ML)と人工知能(AI)機能は極めて重要な分野となっています。
市場監視システムが発展する過程で、AIは重要な役割を果たしています。自動化の推進、コスト削減、市場データの恒常的な増大といった金融機関のニーズは、すべてAIの機能によって対応可能です。
市場参加者はまた、現在は察知されていない市場操作の動きを検知するための予測分析にもAIを使うよう求めています。ベンダーはこうしたニーズに応えるため、マシンラーニング機能の向上、ニュートラルネットワークの採用、AIのその他の機能の開発にも取り組んでいます。
「規制強化を受けて金融機関はコンプライアンス部門の拡大を余儀なくされていますが、AI はこうした現象への重要な対抗手段となり得るでしょう。ここ2年間に、セルサイドとバイサイドの大手金融機関がAI機能の本格的な利用に踏み切り、取引やコミュニケーションの監視機能を改善させたケースが散見されています」と証券プラクティスのシニア・アナリストのアンシュマン・ジャスワルは述べています。