日本のATM最新動向パート1:モジュール化とサービス化の進展
Trend Toward a Services Model and Modularization
Abstract
(このレポートの英文版を"The ATM in Japan: Part 1:Trend Toward a Services Model and Modularization "というタイトルで2012年5月31日に発表しました。)
日本のATMに関して、セレントでは現在2つのトレンドがあると考えています。すなわち、ATMを提供するベンダーサイドにおける、ATM関連の製品・サービスのモジュール化(交換可能な構成部分の部品化)と、ATMサービスを提供する金融機関におけるビジネスモデルやソーシングモデルのアンバンドリング(再利用可能な構成部分の分離)のトレンドです。
セレントの最新レポート「日本のATM最新動向パート1: モジュール化とサービス化の進展」は、日本のATMに関する2つの動向、モジュール化とアンバンドリング化のトレンドについて、これまでの経緯、そして現在みられる動向について詳述しています。
これまで、日本のATMは、堅牢で高品質なATMネットワークを背景に、高い運用性能と保守性能を実現するATMハードウェア、ソフトウェアの広範な普及と、ATMベンダーによる運用・保守全般に亘るサービス提供により、銀行窓口業務を無人非対面の自動機へ有人店舗から分離してきました。そして、今日では、コンビニATMをはじめとした新たなATMサービス提供手段の出現から、自行/他行ATMの区分超えた新たなサービスプラットフォームとして、自社の経営資源(設備資産と人的資源)からの分離独立と外部調達の戦略オプションを実現しています。
「モジュール化とアンバンドリングの進展は、ATMが自社に固有な資産として保有され、ATMチャネルが画一的で変化に乏しい時代の終焉を予感させます。そして、日本のATMは、その調達と運用の変化と多様性を競う時代に入ったと言えましょう。新たな時代の幕開けに備え、常に変化する自社のビジネス展望とテクノロジー戦略を実現する、新たな「ATMソーシングモデル」の構築が待望されます。」とアジア金融サービスグループのシニアアナリスト、柳川英一郎は述べています。
パート1においては、日本のATMを取り巻くビジネス環境について、その歴史的な経緯と現在の市場状況、システムやサービスの特徴点などを通じて論述しました。
続くパート2で、今までの経緯と現状を踏まえ、セレントの考える3つの技術トレンド(ハードウェアのモジュール化、ソフトウェアのプラットフォーム化、ビジネスモデルのサービス化)の検証を目的に、ベンダー動向、各社の最新の取り組みを紹介します。また、ATMに関連した、手数料と提携の最新状況調査を通じて浮き彫りとなった、新たなビジネスモデルの可能性、あるべきATMのソーシングモデル構築に当たっての指針を提案しています。