リテールバンキングのテクノロジー支出予測 2022-2027: パンデミックからの脱却
2022/09/12
Key research questions
- 今後5年間でリテールバンクはITにどの程度投資するのか?
- 最も急成長する地域はどこか?
- どのテクノロジー分野が最も大きく成長するのか?
Abstract
リテールバンキング業界では、収益と収益性が再び重視されるようになっている。パンデミックによる深刻な影響が後退した今、成長を支援するテクノロジー主導の取り組みが課題として浮上していることから、業界全体でIT投資が大幅に増加すると予想されている。
2022年の世界のIT支出は2,500億ドルに達する見込みである。これは2021年比で4.3%の増加であり、2023年の見通しはさらに明るい。セレントは、2023年のIT支出は2,630億ドルに達し、2022年比で5.2%増加すると予想している。これまでは、多くのプロジェクトが延期され、対象から外され、優先順位が下げられてきたが、現在は新型コロナによって「失われた」時間を取り戻す必要があるという認識が市場全体に広がっている。そのため、世界のIT支出は今後年平均4.6%のペースで拡大し、2027年には3,080億ドルに達すると予想される。
これらの数値および本レポートは、セレントの改良された新たな予測モデルに基づくものである。2022年初頭に当社は手法の強化を図ることを目的として、「セレント・バンキングIT戦略調査(CBISS)」を開始した。200行近くの銀行と綿密な意見交換を行う中で、向こう1年の技術的最優先事項と、最も大きな変化が予想される商品およびプロセスに関して詳細なインサイトを集めた。こうした重要な情報を予測モデルに入力することで、データセットの精度が大幅に向上し、対象範囲が拡大した。
主な調査結果:
- IT支出はパンデミックによる落ち込みから大きく回復しており、2022年には4.3%増加して2,500億ドルに達する見込みである。
- 最も支出が多い地域は北米で、2027年には世界のIT支出の33%近くを占める見通しである。
- 最も急速な支出の成長が見込まれるのは中東・アフリカで、2027年までの平均成長率は5.4%と予想される。
- 外部サービス (ITサービスとクラウド支出を含む) は、2027年まで年平均6.3%のペースで成長する見通しである。
- アプリケーション (SaaSを含む) は、2027年まで年平均5.7%成長し、引き続き最大の支出分野になるとみられている。
リテールバンキング業界への教訓は明白である。いくつかの課題はあるが、多くの銀行は成長を支えるためにIT投資を続ける計画である。明確な戦略を持たずリスクに対応できない銀行は、市場に遅れをとることになる。