医療費請求決済処理サービス(ヘルスケアバンキング・サービス)における変革推進者
Abstract
米国の医療費請求決済処理サービス(ヘルスケアバンキング・サービス)の変革は遅々として進んでいませんが、少しずつ新たな体制への移行が進みつつあります。
医療費請求決済処理は、利害の対立する様々なステークホルダーや独自開発の形式が多数からみあい、現行の処理方法は非効率で持続不可能と考えられます。変革の時がきています。
ヘルスケアバンキング分野第2弾のレポート「医療費請求決済処理サービス(ヘルスケアバンキング・サービス)における変革推進者」は、変革推進者がいかに現状からの脱却を図っているかを紹介し、新規参入業者が展開する新しいビジネスモデルについて論じています。これらのプレイヤーは、ステークホルダーの連携を促し、コストと効果に見合ったビジネスモデルを構築できるという点で、先行組とは一線を画すと考えられます。また、取引の透明性や連携に欠ける現在の事業環境を改善するでしょう。新たな秩序は、業務面(電子送金やACHへの段階的な移行など)から組織面(収益サイクルに応じた提携関係など)に至るまで様々な形で表れてきています。
「今後リーダーシップをとるのは、ここにきて変革推進者としての存在を示している第三のプレイヤーでしょう。彼らは変革の必要性を理解しているからです。すなわち、①数千の支払人に対応するインフラから数百万の支払人に対応できるインフラへ、②医療費請求・支払関連書類を扱う単なる取引機関から電子カルテや診断結果などの総合医療情報を扱う機関へ、さらには③バッチ処理を行うプラットフォームからリアルタイム処理のプラットフォームへの移行が不可欠であることを認識しているからです」とレポートの共同執筆者で銀行プラクティスのマネージング・ディレクターでもあるアレンカ・グリリッシュは述べています。
セレントの推計では、2006年に処理された医療費請求案件は約34億件、支払総額は約11億ドルに達しました。このうち半数近く(45%)についてはプロバイダーが標準形式とは異なる方法で請求し、約65%の支払いは小切手で行われたとみられます。今後5年間で、標準形式や電子送金による支払はこれまで以上に普及するでしょう。2012年には、標準形式によらない請求案件の数は全体の15%に減少し、電子送金の割合は62%に上昇すると予測します。ただし、標準規格(common 835)が普及する可能性は低いでしょう。
「小切手から電子送金への移行を促進し、債権の革新的な回収方法を開発した金融機関がリーダー的存在となるでしょう。金融機関は、プロバイダーの数が増加してもそれを上回る数の案件を医療費支払人が処理しているという点に留意すべきです。先進的な金融機関は、プロバイダーに的を絞った商品・サービスの拡充に加え、小切手画像処理といった事後的な取り組みだけではなく小切手取引の根本的な排除を可能にする支払人に焦点を当てたソリューションを提供する必要があります」と、レポートの共同執筆者でシニアアナリストのマダビ・マンサはコメントしています。
本レポートは21図と7表を含む全55ページで構成されています(巻末には医療費請求取引の背景を説明した図表を含む8ページの付属資料を添付)。
なお、変革を推進するプレイヤーとしてathenahealth、 バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、InstaMed、MedAvant、MisysPayerpath、Payformance、PNC BankおよびRMSの8つを取り上げています。