トルコのデリバティブ市場:チャンスの国か?
Abstract
トルコのデリバティブ市場はまだ始まったばかりで、長期的な成長機会に溢れています。同国におけるデリバティブ取引の90%は依然として店頭取引が占めているのに対し、上場商品の種類は限られており、今後拡充が求められます。
セレントの最新レポート「トルコのデリバティブ市場:チャンスの国か?」は、トルコのキャピタルマーケッツにおけるチャンスは、同国が欧州の新興国であることだけでなく、中・東欧、チュルク語圏、中東、北アフリカの玄関口および金融センターとしての可能性にあると述べています。
トルコ政府は経済に関して非常に野心的な目標を掲げていますが、それに政策が追い付いていないのが現状です。ちなみに、2023年までに世界第10位の経済大国になるという目標を達成するためには、海外からの投資を呼び込み、インフラ、システム、規制および税制を一新して金融市場の近代化を進めることが不可欠です。理論上の競合国と比較すると、トルコのGDP成長率は高く、債務残高も低く抑えられている一方で、金融セクターの発展が遅れていることがわかります。
「金融市場、とりわけデリバティブ市場をみると、トルコが先進的な経済大国になるためになすべきことはまだ多いといえるでしょう。バイサイドのオンショア取引は依然小規模で、そのほとんどが固定的な取引です。トルコのデリバティブ市場はいまだ初期段階にあり、取引が拡大し始めたのは、債券・預金に対する税制優遇措置が撤廃された2006年以降です。この分野では、税制上の障害の撤廃、トルコへの投資の呼び込み、投資家が負担するコストの削減など、まだまだやるべきことが多くあります」と、セレント証券グループのアナリストでレポートの共同執筆者であるメディ・アガミは述べています。
「トルコでは証券取引所をBorsa Istanbulに一本化し、全ての資産クラスの取引をここで行うことを決めましたが、これは成功につながる戦略と評価できます。株式の現物取引の利益率が低い中、戦略的な提携プロジェクトが進んでいることは、現地当局がデリバティブ市場の急速な進化の促進に積極的に取り組んでいることを示すものです。ただし、デリバティブ市場の拡大を実現するためには、企業、バイサイド、個人投資家など全ての市場参加者の教育をさらに強化する必要があります」と、シニアアナリストでレポートを共同執筆したジョセフィン・ドゥ・シャズルネは指摘しています。
本レポートは、トルコのデリバティブ市場の進化の可能性とそれが今後数年間に国内および外国の市場参加者(インフラプロバイダー、銀行、バイサイドの金融機関、ベンダーなど)にもたらすチャンスを明らかにしています。