北米銀行によるIT投資の動向
Abstract
北米銀行によるIT投資額は、2008年の494億米ドルから2009年には503億米ドルに増加するとみられます。一方、IT投資額の伸び率は2年連続で減速する見通しで、2009年は1.7%にとどまるでしょう。伸び率は低下しているものの、実際の投資額は増加傾向が続いています。
セレントの最新レポート「北米銀行によるIT投資の動向」は米国およびカナダの銀行のIT投資動向を調査、分析、比較しています。北米銀行のIT投資伸び率は2008年の3.1%から2009年は1.7%に低下する見通しですが、実際の投資額は増加傾向が続いています。景気の低迷にもかかわらず、2009年の投資額は503億ドルに達すると予想されます。投資額が増加を続けている理由として、①予算の大部分を保守管理費が占めていること②合併に伴うシステム統合作業が増大していること③中小規模の銀行がシェア拡大を目指してIT投資を増やしていること―が上げられます。
カナダの大手銀行の一部は金融危機による打撃を受けていますが、IT投資への影響はほとんどないとみられます。同国の銀行の多くは逆風を乗り切り、北米銀行市場での強固な立場を生かすことができるため、IT投資は今後も拡大し続ける見通しです。2009年のIT投資額は全体で4.0%増の67億米ドルに達するでしょう。
「金融危機や景気の不透明感を背景に、米銀は財務の改善に努めています。特に大手銀行は予算を縮小し、コスト抑制に注力しています」とセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでレポートを執筆したジェイコブ・イエーガーは述べています。
「コスト削減に伴って多くのITプロジェクトが見送られ、行内におけるIT資源の奪い合いが一段と激しくなるでしょう。IT予算からコンプライアンス/規制関連投資や保守管理費用を差し引くと、システムへの投資分はほとんど残らないとみられます。銀行が十分な投資を行うためには、資金を有効活用するための手腕が求められるでしょう」とイエーガーは付け加えています。
レポートでは、北米銀行によるリテールおよびホールセールバンキング分野への投資額の内訳、保守管理費と新規投資の内訳などを分析しています。また、北米銀行業界における2009年の主なテクノロジー動向や成長が見込まれる分野を明らかにしています。
本レポートは9図と1表を含む28ページで構成されています。