保険会社のデジタル化はどこまで進んでいるか?【抄訳版】
2016/01/22
Abstract
(英文レポート"Progress Towards a Digital Future: How Ready Are Insurers Today?"の重要部分を抽出し翻訳しました。)
保険業界にとって「デジタル化」とは何を意味するのでしょうか。セレントは、消費者からのフィードバックや保険会社の自己評価をもとに検証しました。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 保険業界にとって「デジタル化」とは何を意味するか? |
2 |
消費者は何を望んでいるのか? |
3 | 保険会社は消費者の期待に応える準備ができているか? |
本レポートは、世界7ヵ国(米国、英国、フランス、ドイツ、イタリア、メキシコ、ブラジル)の消費者2,338人と世界各地に拠点を置く保険会社186社を対象に行った調査結果をもとに、保険業界が「デジタル化を進める」ために何をすべきかを考察しました。1-3月期中に発行する第2弾のレポートでは、消費者のセルフサービス志向とデジタルサービスへの期待について分析します。
「保険会社がデジタルによる新たなビジネス手法を考え出したからといって、サービスの対象となる市場や消費者が自動的にそれを受け入れ、新規ビジネスの拡大につながるとは限りません。当たり前かもしれませんが、新しいデジタルサービスが利用可能になる過程や利用可能になった時点で顧客側の受け入れ態勢が整い、それを利用したいという機運が高まっていなければなりません。本レポートでは、デジタルによるセルフサービスを志向する消費者の行動とそれを提供する保険会社側の準備状況について調査しました」とセレント保険プラクティスのシニア・バイス・プレジデントでレポートを執筆したジェイミー・マクレガーは述べています。
主な調査結果:
- 商品タイプにもよるが、消費者のうち平均58~62%は保険分野における優れたデジタルサービスを望んでいる。
- 一方、顧客サービスの一環として担当者とのやり取りは引き続き不可欠と考えられており、特に個人的なリスクが高くなる複雑な取引の場合はこれに当てはまる。
- 平均すると、消費者の52%は単純な取引でもある程度人的介入があることが望ましいと考えており、複雑な取引ではその割合が76%に上昇する。しかし消費者の志向は年齢、世帯所得、デジタル活用度によって大きな差があり、顧客のセグメント化が不可欠である。全ての顧客に同じように対応する「万能型」の戦略は機能しないと考えられる。
- 同時に保険会社の多くは「デジタルを実現可能にすること」への投資(システムの刷新、ストレート・スルー・プロセッシング、デジタルによるセルフサービスなど)を引き続き優先し、「デジタルによるイノベーション」(「インターネット・オブ・シングス」やデータ強化に基づくデジタル提案の作成)には注力していない。
- 多くの保険会社は、デジタル体制の整備という点で自社は出遅れているとみており、外部の複数のパートナーからのサポートによりデジタル転換計画を策定したいと考えている。
本レポートは36ページ、23の図が掲載されています。