米国FCMの減収: そろそろ懸念すべき段階?
Abstract
米国の先物取引業者(FCM)は、金融市場のニーズの変化に対応するための取り組みを進めています。金融危機とその後の景気減速を受け、市場撤退を余儀なくされる業者がある一方、市場の変化をうまく利用してニッチ分野に参入している業者もみられます。
セレントの最新レポート「米国FCMの減収:そろそろ懸念すべき段階?」は、FCMが過去10年間に行った上場デリバティブ取引のパフォーマンスについて取り上げています。ドッド・フランク法の施行に伴い、店頭デリバティブ取引は中央清算機関(CCP)による決済とスワップ執行ファシリティ(SEF)による注文執行への移行が進むため、収益性の高い店頭デリバティブ市場でのシェア拡大を目指す証券取引所も参戦して新商品の投入競争が激しくなるでしょう。上場デリバティブと店頭デリバティブとの差を埋めるようなスワップ先物商品も投入されており、市場のイノベーションがさらに進むとみられます。
金融危機とその後の影響に対しては、大手のFCMより中小のFCMの方が巧く適応しているように思われます。2003年から2012年の間で、後者の平均収益が減少に転じたのは2005年と2010年だけです。さらに、2012年の中小取引業者の収益は2009年をわずかながら上回っており、大手業者や業界全体とは逆の結果となっています。
「米国の主なFCMは減収減益に悩んでいます。今後2年間に予定されている規制強化の動きは業界全体に影響を及ぼし、関連コストも膨らむとみられるだけに、状況はますます厳しくなるでしょう」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
レポートでは、業界全体と大手および中小FCMの過去10年間の収益を分析し、業績の背景にある傾向を明らかにしています。 また、FCMの業績が及ぼす影響、取引所をはじめFCMと密接な関係を持つ他のプレーヤーについても解説しています。
本レポートは16p、7図で構成されています。