2016年Q3 フィンテックの最新イノベーション
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | フィンテックはなぜ重要なのか? |
2 |
どのような企業がフィンテック分野で頭角を現しているか? |
3 | 市場から何を学べるか? |
金融業界のテクノロジー投資総額は2010年には20億ドルに満たなかったものの、その後は急拡大し、アクセンチュアによると2014年には120億ドル、15年には220億ドルをそれぞれ超えています。Swiftが主催する「Innotribe」や「Finovate」といった業界のコンファレンスは、イノベーティブな取り組みを試す絶好の場となっており、年々拡大して多くの新興プレーヤーを呼び込んでいます。
フィンテックのスタートアップ企業の多くは規模が小さく、市場エクスポージャーも限定的ですが、特定のプロセスや分野で革新的な取り組みを行っています。金融業界は、最近になってそうした新規参入プレーヤーを受け入れる姿勢を見せ始めています。ベンチャーキャピタルの投資先も、ディスラプターから業界との協調を図るスタートアップ企業へとシフトしています。
アクセンチュアによると、2010年には北米のフィンテック関連投資60%以上を「ディスラプティブ」なスタートアップ企業が占め、「協調的な」プレーヤーへの投資は40%にとどまっていましたが、2015年には前者が40%、後者が60%に逆転しています。大部分のスタートアップ企業にとって、銀行業界の「ウーバー」になることはもはや最終目的ではありません。銀行側では、これらスタートアップ企業がどれだかの価値を提供できるか、その創出に取り組もうとする姿勢を強めているかを見極める動きが広がっています。
変化への機運は高まっており、デジタルテクノロジーは業界にメリットをもたらすとの共通認識は確立しています。しかし市場は急激に変化し、金融サービスを根本から変えてしまうようなイノベーションを携えた企業が年々登場しています。大手金融機関にとっても、このような変化に常に追いついていくのは容易ではありません。
「フィンテックのスタートアップ企業がバンキングの性質を変えつつあることは間違いありません。新規参入したイノベーターがトレンドセッターとなり、『good』と評価されるのはますます難しくなってきていますが、そのようなベンチャーへの投資を投資家は絶好のチャンスと捉えています」と銀行プラクティスのアナリストであるスティーブン・グリーアは述べています。