米国バンカシュアランスを巡る過剰な期待と厳しい現実
Abstract
米国における個人向け保険商品の販売は、いまだ年金保険での成功を再現するには至っていません。各金融機関は販売チャネルへの投資を続けていますが、投資分を回収できる目処が立っているかどうかは疑問です。
バンカシュアランス(銀行における保険商品販売)は、生命・医療・損害の各分野における個人向け保険商品の販売動向を大きく左右すると考えられています。しかし、米国では多くの銀行および保険会社が長年にわたって努力を重ねてきたにもかかわらず、いまだその成果が上がっていないのが現状です。
「伝統的な保険商品や業務プロセスをそのまま銀行の事業環境に持ち込んでも、思うような成果は得られないでしょう。これまで十分なサービスが提供されてこなかったミドルマーケットに銀行の販売チャネルを通して参入していくためには、優れた商品設計、積極的なホールセール販売体制に加え、経験の浅い販売スタッフに業務プロセスの徹底的な遂行を促すシステムの確立が欠かせないことを保険会社と銀行がともに認識する必要があります」と、セレントのシニアアナリストで最新レポート「米国バンカシュアランスを巡る過剰な期待と厳しい現実」の著者であるクレイグ・ウェバーは述べています。
ウェバーによると、バンカシュアランスによる成果が芳しくない商品が多いにもかかわらず、保険会社はなお楽観的な姿勢を崩していないことが明らかになっています。保険会社の銀行販売プログラムを担当するマネージャーを対象に調査を行なったところ、バンカシュアランスによる販売実績が「ある程度期待どおりである」または「全く期待どおりである」とする回答は全体の67%を占めています。また、84%は今後2~3年で銀行の販売チャネルは大きく成長すると予想しています(上のグラフ参照)。
レポートでは、バンカシュアランス市場の商品別概要をまとめ、現在主流となっている3つの販売モデルを紹介しています。また、保険会社が銀行の販売チャネルに投入した時間と資金に対するリターンを最大化するために採るべき商品・プロセス・テクノロジーの総合的戦略を明らかにしています。中でも、簡潔な新規ビジネスプロセスの確立とサイクルタイムの削減といった明確なニーズに対応するための有効なアプローチとして、ウェブベースツールや電話による引受業務の導入を挙げています。