OTCデリバティブおよびストラクチャード・プロダクトにおける価格決定プラクティス:市場改革に向けた トレンドとテクノロジー戦略
Abstract
(このレポートは2009年3月25日に"OTC Derivatives and Structured Product Pricing Practices:Trends and Technology Strategies for the Coming Market Reformation"というタイトルで英文で発表されましたが、日本語版が2009年7月31日に発行されました。)
フロントオフィスにおける価格決定方法は多様化し続けており、金融機関のコスト負担は限界に達しているとみられます。従って、セレントは価格決定機能を共有するアプローチが望ましいと考えています。
金融機関の間では、今回の信用危機が起きる前から価格決定およびバリュエーション機能の透明性の向上を図る動きが広がっていました。しかし、危機が収まった後は金融改革への流れが進み、金融機関に複雑な取引の価格決定やポートフォリオ評価の手続きにおける整合性を促すための審査や要件がかつてないほど厳しくなっています。デリバティブやストラクチャード・ファイナンスの分野では、情報開示や価格決定/評価方法を確立することが市場への信頼を取り戻す上で不可欠となっています。
規制当局、投資家グループ、準政府機関、官公庁は透明性、独立性および説明責任の向上を目指しており、特に明確なプロセスの策定とそれらが繰り返し可能であることを重視しています。業界の変革は既に始まっていますが、本格的な成果はまだ得られていません。
金融機関がこうした状況に備えるためには価格決定機能を一元化し、フロントオフィスの価格決定方法がこれ以上細分化することを避けなければなりません。そのための出発点として、価格決定機能を統合した「パブリッシュ・サブスクライブ」の組織に移行することが必要でしょう。
「多くの金融機関は投資家、規制当局、その他の市場参加者の高まる期待に対応するために価格決定および評価手続きの強化に着手したばかりです」とセレントのシニアアナリストでレポート執筆者のキュビラス・ディンは述べています。
今後は価格決定および評価手続きが改革の中心になることから、デリバティブやストラクチャード・プロダクトの取引所取引およびOTC取引に参加する全ての金融機関はデリバティブの価格決定、リスク管理、商品管理の手続きの整合性を向上させ、これらを実践するための一貫した戦略を打ち出す必要があります。金融市場は、一段と厳しい改革後の局面に突入しつつあります。金融機関が取り組むべき再構築の作業は多く、信頼と安定した地位の回復に向けて最適なアプローチをとることが必要でしょう。
「規制の強化に伴い、もはや金融機関はいつ何をすべきかではなく、価格決定の透明性、独立性および説明責任の問題解決に向けて整合性の高い最善策を見出すことに注力すべきでしょう」とディンは指摘しています。
本レポートはセレントが行った最新の調査・分析の結果に基づき、信用危機後のOTC取引およびストラクチャード・プロダクト市場における価格決定とリスク管理の業務慣行、業界の最新動向とそれが金融機関に及ぼす影響についてまとめたものです。今回の調査は一貫した分析手法、モデル管理のインフラ、ITアーキテクチャの評価に加え、フ ロントオフィス、リスク/商品管理部門、その他のエンドユーザー間の連携に関して、川下分野の業務またはシステムにより深く広範な影響を与えるものです。また、価格決定および評価の業務手続について、特にテクノロジーやデータの側面から解決策、重要な教訓、提言などを示しています。
本レポートは14の図表を含む36ページから構成されています。