AIを利用した新しいパラダイム
Abstract
デジタル時代の金融犯罪と戦うために、金融機関は有害メディアスクリーニングの対象範囲を強化・拡大し、プロセスの効率と効果を向上させる必要がある。人工知能(AI)を利用したソリューションは有害メディアスクリーニングを変革し、より頻繁で機動的かつプロアクティブなカスタマーリスクのモニタリングを可能にする。
特に、自然言語処理 (NLP) はテキスト分析と非構造化データ分析を大幅に改善し、有害メディアスクリーニングにパラダイム変化をもたらすことができる。
- NLP技術は、キーワードベースの検索にとどまらず、ニュース記事に埋め込まれている文脈、関連性および関係を識別することで、テキスト情報のインテリジェント分析を可能にする。
- また文脈を評価することで、有害な活動にフラグを立て、AMLの類型にマッピングすることができる。各検索結果については、AIシステムによってスコアを付け、関連性や危険性に応じてランク付けできる。
- 更に金融機関は、危険性や関連性が最も高い結果に希少なリソースを割り当てる一方で、危険性の低い結果については経験の浅いアナリストに任せたり、これらを除外または自動的にクローズすることが可能になる。
AI駆動型ソリューションは、外国語で書かれたものも含め無数の情報ソースを分析できるため、対象の規模と範囲を飛躍的に拡大することが可能である。こうした自動化駆動型アプローチは、人間のバイアスとエラーを排除し、調査の一貫性を向上させる。また、ソフトウェアシステムはその提案の論理的根拠を提供・記録することができるため、可監査性も保証される。
金融機関は、有害メディアスクリーニングにおいてAIの活用を模索し始めている。早期導入者からの報告によると、各ケースの調査時間の短縮、法人顧客のオンボーディング時間の短縮、AMLプログラムの適用範囲の向上など、目覚ましい成果が出ている。金融機関が円滑な導入と利益の最大化を実現するためには、データ管理、システム統合、モデルガバナンス、リソーシングなどの重要な課題に注意を払う必要がある。
AIは人間の分析者やその判断に取って代わるものではなく、導入後もAIベースのシステムを利用しながら人間が意思決定を行う。しかし、AI駆動型ツールは有害メディアスクリーニング業務の負担を軽減し、高度なインサイトを提供することで、人間による分析を向上することができるだろう。
本レポートに記載されているベンダーは以下の通り。Arachnys, an AML RightSource Company、BAE Systems、Bottomline Technologies、ComplyAdvantage、Dow Jones、Fiserv、Fourthline、IBM、LexisNexis、Moody's Analytics、NICE Actimize、Oracle、Quantifind、Refinitiv、SAS、smartKYC、Steele