銀行業界のIT投資動向:北米市場の展望
Abstract
北米銀行のIT投資額は着実なペースで拡大しており、2014年は4.5%の増加が見込まれています。2015年も引き続き小幅な伸びが予想され、北米銀行による投資総額は4.6%増の622億ドル(約6.6兆円)に達する見通しです。2014年に前年実績を上回る伸び率が見込まれることは、明るい材料といえるでしょう。
最新レポート「銀行業界のIT投資動向:北米市場の展望」は、米国およびカナダの銀行によるIT投資の動向を調査、分析、比較しています。北米銀行のIT投資額は2013年の569億ドル(約6兆円)から2014年には595億ドル(約6.3兆円)に増加が予想されます。特に伸びが大きいのはリテールバンキング分野で、デジタルチャネルのマネタイゼーション、ユーザーエクスペリエンスの拡充、オムニチャネルによる販売およびサービス提供といったプロジェクトの優先順位が高くなっています。ホールセールバンキングの投資額も増加傾向が続くとみられ、特に中堅銀行では古いキャッシュマネジメントおよび財務管理ソリューションの更新が検討されています。
「明るい材料は、新規システムへの投資が急拡大する一方、保守・管理に振り向けられる額は減少傾向にあることです。ただし、プロジェクトの資金確保が簡単でない状況は変わっていません。プロジェクトは奨励されているものの、その審査は厳しく、短期間で投資利益率を上げることが求められています」と、セレント銀行グループのリサーチディレクターでレポートを執筆したジェイコブ・イエーガー は述べています。
レポートでは、地域ごとにIT投資の内訳をリテールとホールセール、社内と社外、保守・管理と新規投資にそれぞれ分けて調査しました。また、2014年の北米の銀行システムの主なトレンドと成長分野を予測しています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2013年12月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。