FX取引プラットフォーム:ビジネスモデルの収束と競争の激化
Abstract
FX取引プラットフォームの市場ではセグメントの境界があいまいになり、競争が一段と激しくなっています。テクノロジーの進化と規制強化を背景に、競争の構図も変わりつつあります。
セレントの最新レポート「FX取引プラットフォーム:ビジネスモデルの収束と競争の激化」は規制およびテクノロジー面の変化に伴うFX取引プラットフォームの進化の状況とそれによって生じた市場構造の変化を明らかにしています。FXプラットフォームのプロバイダーの事業環境をめぐる主な動きは以下のとおりです。
- インターディーラー・プラットフォームの競争が激化。
- シングルディーラー・プラットフォームとマルチディーラー・プラットフォームの競争が熾烈に。
- 市場シェアを維持・拡大するため、地方銀行はシングルディーラー・プラットフォームをアップグレード。
- FXプラットフォームプロバイダーは商品ラインアップと対象顧客を拡大。
この結果、インターディーラー、ディーラー対顧客、リテール市場といった従来のセグメントがあいまいになり、個人向けプラットフォームが機関投資家向け市場への参入を狙うようになっています。一方、ディーラー対顧客市場に進出している機関投資家向けマルチディーラー・プラットフォームは、インターディーラーとリテールの両方を手掛けることを目指しています。さらに、インターディーラー・プラットフォームはディーラー対顧客プラットフォームの買収に乗り出しています。
「FXプラットフォーム市場では、規制当局の動きが市場の変化を促す要因となっています。規制強化を背景に大手銀行は自己勘定取引を抑制し、注文執行を中心とする仲介業務に軸足を移すようになるでしょう」とセレント証券グループのシニアバイスプレジデントでレポートを共同執筆したデビッド・イーストホープは述べています。
「プラットフォーム開発の期間とコストが大幅に縮小されたことで、新たなプラットフォームにとって参入障壁は低くなっています。ただし、既に市場参入しているプレーヤーが多いため、新規参入組が取引件数と市場シェアを獲得するためには自らのプレゼンスを高める必要があります」とアナリストでレポートの共同執筆者であるアリン・レイは指摘しています。
レポートでは、FX取引の売買代金の内訳や執行方法の優先傾向など市場の概要、ここ10年間のFX取引プラットフォームの進化の状況を説明し、この分野の最新トレンドを明らかにしています。その過程で、15のFX取引プラットフォーム(インターディーラー、シングルディーラー、マルチディーラー)の事例を取り上げ、これらの分析をもとに、FX取引プラットフォーム市場の今後の展開を予測しています。