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保険業界は信頼性の危機: ブランド再構築の努力

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2005/06/28

Abstract


米国保険業界を揺るがす信頼危機は、一向に治まる気配が見られません。大手代理店が支払いに同意した損害賠償額は計10億米ドル(約1,080億円)を超え、新たなビジネスモデルや補償制度が打ち出されています。一方、現在州政府や連邦政府が進めている捜査は20件以上、株主や保険金受取人が起こした訴訟は数十件に上っています。また、保険業界全体では数千人が職を失い、少なくとも10人の保険会社幹部が刑事訴訟で有罪判決を受け、現在も捜査に協力を求められている状況です。

このように業界は問題を抱えています。その一部は過去の行動に根ざしたものであり、一部は現在の業界の認識に原因があります。問題を解決するには、今後の行動を改めるとともに、現行の認識を変えることが不可欠です。保険会社や代理店は意識改革やイメージ向上に取り組み始めている中で、ブランドが極めて重要になってきています。

セレントの最新レポート「保険業界は信頼性の危機:ブランド再構築の努力」は、保険ブランドの持つ意味とその現状を検証しています。

レポートは、また、信頼危機に対する業界の3通りの反応も明らかにしています。第1の反応は「逃避」で、沈黙を維持するスタンスです。第2は「闘い」で、業界への非難に対して、異議を唱えるまたは非を認めて改善策を提示するなど、直接反応する姿勢を見せることです。第3は「長期戦の構え」をとるもので、個別の批判に反応するのではなく、保険会社の社会的または経済的価値を訴えています。レポートでは、保険会社や代理店が具体的にどの戦略を展開しているかを紹介しています。

「保険業界が信頼危機から脱し、より強固なブランドを確立できるという楽観的な見方には根拠があります」と、セレントの保険プラクティスのシニアアナリストでこのレポートを執筆したドナルド・ライトは述べています。「保険業界はすでにあまりにも大きなダメージを受けており、しかも自らの責任に拠るところが大きいことを踏まえれば、まず、「逃避」のブランド戦略がうまくいかないことは明らかです。一方、ハンク・グリーンバーグ氏のような人物が勝利するのであれば、「闘い」の戦略は有効かもしれません。また、さらに良いのはマーシュ社のように素直に過ちを認め、全社を挙げた改善策を示して「闘うブランド」をアピールすることです。最も良いのは、一般の人々やビジネス界の共感を得やすく、安心して関係を構築でき、人々や社会全体に貢献できるようなブランドであることです。」

本レポートは2つの表と6つの図を含む全23ページで構成されています。

注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年5月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。