保険における人工知能:先駆者のユースケース【抄訳版】
Key research questions
- 保険会社が顧客エンゲージメントを行う上で人工知能はどのように役立つか?
- 人工知能はバリューチェーンの中で保険会社にどのようなメリットをもたらすか?
- 保険会社に対してどのような提言ができるか?
Abstract
レポートでは、保険業界における人工知能(AI)テクノロジーの実際のユースケースと今後実現する可能性のあるユースケースを紹介しています。
保険会社はAIを活用することで、迅速で一貫した顧客エンゲージメントを実現することができます。コンタクトセンターの顧客サービス担当者をバーチャル化することにより、より複雑な問い合わせへの対応に人員を振り向け、ロボアドバイザーを使ってルールに基づく一貫したサービスを低コストで提供したり、バーチャル・アシスタントが諸手続きや関連取引の案内をすることも可能です。また、認証手続きを音声認識などのバイオニクス認証にアップグレードすることもできます。
このほかにも、①商品/価格設定の最適化②顧客のニーズや行動予測によって最適なチャネルから最適なタイミングで顧客に最適な商品を提案③マーケティング/セールス戦略の最適化④引受けモデルの最適化⑤労働集約的なコアプロセス(データ収集、引受け、保険金請求案件の査定など)の改善⑥不正行為の予知・検知―といったことも可能になります。
ビッグデータの時代となり、保険業界は抜本的な変化に直面しています。AIはそうした変化への適応を可能にする最も重要なテクノロジーの1つですが、そのメリットを十分理解する必要があるでしょう。
「先駆的プレーヤーの中には、既に顧客エンゲージメント、商品/価格設定、マーケティング/セールス、引受け、さらには業務運営/管理にAIを活用しているところもあります。保険会社は、自動運転車、ワトソンによるがん治療法アドバイスなど、他の業界でのAI利用にも注視すべきでしょう。」
「多くの企業がAIを採用していますが、保険会社は自らの商品戦略を見直す必要があるかもしれません。保険会社が抱える従来のリスクは解消または変化する可能性がある一方、新たなリスクが生じる可能性もあるからです」と保険プラクティスのシニア・アナリスト、ウェンリ・ユアンは述べています。