国際送金市場:ハイテクとハイタッチを融合する最適な道
Abstract
世界の国際送金市場では、伝統的な代理店からの市場シェア奪還を目指して、銀行や新規参入業者が採算のとれるビジネスモデルの構築を進めています。セレントは、2007年には米国の移民世帯の40%以上がオンラインの銀行口座を開設し、そのうち少なくとも半数がオンラインやカードサービスを利用して送金を行なうと予測しています。
セレントの最新レポート「国際送金市場:ハイテクとハイタッチを融合する最適な道」は、送金市場の現状について評価・検証しています。同市場では、「スポンサー銀行」が、従来の市場参入障壁 ― 送金国と相手国における既存の大規模ネットワーク、拡張性の高いシステムプラットフォーム、厳しいコンプライアンス上の課題など ― を乗り越えるためにカード処理業者や販売店と提携するという新たな枠組みが生まれつつあります。公開・非公開企業にかかわらず新たなモデルを打ち出し、重大なビジネス要件を確実に満たすことのできる特定の銀行、処理業者、販売代理店と提携して、国際送金におけるベスト・オブ・ブリードをとる構えを見せています。複数の業者間の提携によって、ATMカード/POS端末の処理、米財務省海外資産管理局(OFAC:Office of Foreign Assets Control)のガイドライン、プリペイドカードのコンプライアンス、代理店販売などの課題がすべて解決できます。これにより、新規参入業者は、巨額の資本投資を行なうことなく全面的な競争を仕掛けることができるでしょう。
国際送金市場では、競争の激化や商品・サービスのバンドル化に伴い価格下落圧力が強まると予想されるものの、市場全体の規模の大きさと細分化によって高い収益性が維持される見込みです。市場規模は2005年の2,560億米ドル(約26兆8,000億円)から2006年には2,810億米ドル(約29兆4,000億円)に拡大する一方、規制当局の取り締まり強化とともに無認可業者による送金額は減少が続くでしょう。
「今年は、ビジネスプロセス、地域内の販売体制、最新テクノロジーを併せ持つ新規参入業者が現われ、『ハイテク(高い技術)』と『ハイタッチ(充実した接点)』に分割されていた市場をようやく1つに融合するとともに、最善の手法による成功を実現するでしょう」とセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでこのレポートを執筆したダン・シャットは述べています。
レポートでは、顧客獲得の最適な方法を巡る意見の相違が拡大しつつある米国市場の現状を明らかにしています。「ハイテク」陣営が消費者の意思決定を左右するのは主にテクノロジーと価格であると主張しているのに対し、「ハイタッチ」サービスを掲げる陣営は現行の個別コンタクトを重視し、主に代理店店舗への飛び込み客に依存しているのです。
本レポートは18の図と3つの表を含む全43ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年2月28日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。