米国医療機関の決済業務の現状と今後:調査結果分析
2007/10/25
Abstract
セレントの最近の調査によると、金融機関が医療機関に提供するサービスのうち今後需要の拡大が見込まれるのは、医療機関の収入サイクル管理プロセスを電子化するキャッシュマネジメントサービスであるとみられます。
キャッシュマネジメントサービスのプロバイダーにとって、独自のニーズと課題を抱える医療機関は高収益が見込まれる成長分野です。セレントは最新レポート「米国医療機関の決済業務の現状と今後:調査結果分析」で医療業界向けMetavante Payment Progress Indexの開発に利用された調査結果を分析し、以下の点を指摘しています。
- 調査に参加した回答者は小切手決済から電子決済へのシフトを前向きに捉えており、決済件数全体に占める小切手決済の割合が現在の54%から2年後には40%に低下すると予想している。
- 消費者主導型医療サービスの普及に伴い、医療費における顧客負担比率も16%から21%に上昇すると医療機関はみている。
- 医療機関によるEDI(電子データ交換)の導入は、送金分野より医療費請求分野で急速に広まっている。医療機関の96%は直接または第三者を通じて医療費の電子請求書を送付できるが、電子送金される医療費を患者管理システムで直接受領することができる医療機関は76%にとどまっている。
- 医療機関は、電子送金通知(Electoronic Remittance Advices: ERA)を患者管理システムに直接取り込めるようなシステムを導入したいと考えている。今回の調査では回答者の76%が既に電子送金通知(ERA)の自動取り込みに対応済みであると答えているが、2009年にはこの比率は93%に上昇するとみられる。ただし、大部分の医療機関は電子送金通知(ERA)に対応済みであるにもかかわらず、そのうち69%は実際には小切手による払い込みも受け付けていることがわかった。すなわち、これらの医療機関では例外的に小切手決済をマニュアルで処理しているか、極端なケースでは全てを手作業で処理している可能性がある。
- 電子送金通知(ERA)は決済処理に飛躍的な改善をもたらしており、回答者の46%がその「改善性の高さ」を高く評価している。次に評価が高かったのはLockbox(送金システム)で、回答者の35%が高評価を与えた。
「医療機関は大型プロジェクトを立ち上げている訳ではないものの、段階的に決済処理プロセスの電子化を進めているため、金融機関にとってキャッシュマネジメントサービスの拡充に向けたビジネスチャンスは多いといえるでしょう。調査や取材の結果によると、医療関連EDI(電子データ交換)、拡張Lockbox、預金のリモートキャプチャーサービスなどは他の分野に比べて高い成長が見込まれます。ただし、差別化を図り、費用対効果を実現できない限り成長は望めません。医療機関は現状に満足しているように思われるため、それ程前向きな姿勢ではないといえるでしょう」とレポートの執筆者でセレント銀行プラクティスのマネージングディレクターのアレンカ・グリリッシュは述べています。
本レポートは15図と3表を含む22ページで構成されています。