中小企業向け融資プロセスの自動化と統合
Abstract
セレントでは、中小企業向け融資のオリジネーション・プロセスの自動化と合理化を実現した2行の銀行のケースを検証しました。
中小企業顧客層は、長い間、銀行の関心のすき間に落ち込んでいました。従来、コミュニティバンクが、この顧客層の開拓と関係構築を手がける立場を取ってきた一方で、多くの大手銀行における中小企業をターゲット層とする商品開発の動きは鈍いものでした。ところが、中小企業向け商品やサービス市場の活気が高まるにつれて、大手銀行がこの分野に注目を向け始めています。
セレントは最新レポート「中小企業向け融資プロセスの自動化と統合による成果の活用」で、中小企業向け融資市場に進出した2銀行のケースを検証し、同市場の動向と業務プロセスの概要を提供します。
中小企業向け融資市場をターゲットとすることは、これまで有効なサービスを提供してこなかった大手銀行に新たなビジネス機会をもたらします。多くの大手銀行は販売促進に向けた取り組みを強化し、中小企業の新規顧客獲得と既存顧客に対するクロスセルの機会をうかがっています。金融機関にとって中小企業向け融資は、新商品や追加商品を投入する絶好の足がかりとなるため、各行とも商品ラインの拡充に余念がありません。
「銀行はこの分野の自動化と統合の可能性を認めており、今後、収益性の最大化、顧客基盤の拡大、リソースの有効活用に力を入れていくことは間違いないでしょう」と、セレント銀行プラクティスのシニアアナリストで本レポートの執筆者ジェイコブ・イエーガーは述べています。「北米には、あらゆる規模の法人向け融資商品の業務処理を自動化する単一のエンドツーエンド・プラットフォームの導入を検討中の銀行が多数あります。こうしたタイプのプラットフォームを導入することで、銀行は、企業を様々な成長段階に応じて支援することや、異なる規模の市場にも対応できるでしょう。」
本レポートでは、中小企業向け融資市場に進出し、融資オリジネーション・プロセスの自動化を行ったカナダナショナル銀行とコマース銀行のケーススタディを紹介しています。
カナダナショナル銀行: 同行はCapitalStream社のソリューションを採用することで、中小企業向け融資要件の遂行、自動化の推進、顧客サービスの向上、収益性の最大化を実現しました。同行の主な目標は次のようなものでした。①ウェブベースの中小企業向け融資商品の導入、②ケベック州の中小企業向け融資市場における主導的地位の確保、③顧客満足度と顧客維持率の向上。同行では中小企業向け融資ソリューションが軌道に乗るまで地道な努力を重ねてきましたが、既にその効果を挙げ始めており、様々な分野で効率化と自動化の成果が表れ、時間とコストの大幅な削減が達成されつつあります。
コマース銀行: ニュージャージー州を基盤に急成長を続ける同行は、Ramco Systemsと提携して、自らの構想に基づくエンドツーエンド型中小企業・法人向け融資システムの構築を実現しました。システム構築にあたっての目標は、①デリバリ・プラットフォームの強化、②プロセス管理の向上、③事業環境の変化・進化への適応、④競争力の向上、の4点でした。同行は、効率化を通じて融資顧客の獲得数を増やし、事業を拡大すると同時に、人員削減の実現も目指しています。
本レポートは10図と3表を含む31ページで構成されています。