2011年 中国保険市場とテクノロジーの動向
Abstract
中国の保険市場は急速に成長しています。保険料収入は2008年に39%増を記録したあと2009年には14%増に減速しましたが、市場の回復に伴い2010年は30%増と再び加速しています。それに伴い、市場構造、商品、販売など様々な分野で修正が進んでいます。
セレントの最新レポート「2011年 中国保険市場とテクノロジーの動向」は、2008年4月発行のレポート「2008年 中国保険市場とテクノロジーの概要」の内容を更新したもので、2008年以降の市場の変化を分析しています。
規制当局が保険の銀行窓販を解禁し、新会計基準の導入に伴い保険料収入の設定基準となる統計値を変更したことで、多くの保険会社では2011年の保険料収入が減少しました。しかしこうした修正は、長期的にみて保険事業の健全な発展に寄与するといえるでしょう。
外資系および合弁保険会社は、生命保険市場におけるシェアを2007年の8%から2010年に5.6%に、損害保険市場では2008年の1.18%から2010年は1.06%に落としているものの、保険料収入は一貫した増加傾向にあり、成長著しい中国保険市場は外資系企業にとってなおメリットの大きい市場となっています。
今後、中国では販売チャネルの多様化がさらに進むとみられます。銀行や保険会社の間で株式を取得する動きが広がっており、今後両者間の協力関係はより大きく変化し、さらに踏み込んだ業務提携が実現するでしょう。インターネットの普及による影響が日常生活のさらに広範囲に及び、ショートメッセージやモバイルワイアレス・ネットワークがより広く利用されるようになれば、保険のオンライン販売もますます発展するとみられます。また、今後数年間に電子商取引も急速に普及する見通しで、保険会社はこの分野のIT投資に注力するでしょう。
保険代理店やブローカーといった仲介業者に対する規制の整備が進み、こうしたチャネルの発展を促す可能性もあります。また、テレマーケティングが急拡大するのに伴い、エージェントは徐々にフィナンシャル・コンサルタントとしての役割が大きくなるでしょう。また、保険会社の間では、オンライン販売やオンラインサービスといった新たなビジネスモデルの採用が拡大しています。モバイル機器の機能の進化も伴って、保険証券の発行、サービスの提供、保険加入申込者の査定などにも対応できるようになるでしょう。
「中国市場では保険会社のシステム成熟度が向上し、業務処理の自動化が進んでいるほか、システムの統合も広がっています。保険会社は電子商取引への関心を強めており、これらの会社ではITの重要度がさらに増すとみられます」と、セレントのアジア金融サービスグループのシニアアナリストでレポートを執筆したウェンリ・ユアンは述べています。
本レポートは、中国保険市場の保険料収入、市場構造、商品トレンド、販売トレンドなどを分析し、IT投資の動向も明らかにしています。