欧州大陸におけるコーポレートアクションの自動化
Abstract
欧州大陸の金融機関は、コーポレートアクションに関わる処理の自動化に取り組んでいますが、処理の過程ではなお多くの課題を抱えています。
欧州大陸の銀行、カストディアン、運用会社では、コーポレートアクションに関わる処理の自動化が優先課題として浮上しています。しかしながら、大部分の金融機関はコーポレートアクションの簡便かつ正確な処理の実現には今なお課題を抱えており、セレントの最新レポート「欧州大陸におけるコーポレートアクションの自動化」ではその現状を明らかにしています。
「欧州大陸の金融機関はコーポレートアクションを完全にSTP化するにあたり、大きな壁にぶつかっています」と語るのは、セレントのシニアアナリストで上記レポートの共同執筆者のキュビラス・ディンです。具体的な障害として、①データの質が標準化されていない、②それぞれの社内システムに互換性がない、③全体のプロセスに関わる複数の関係者間で情報が共有されていない、④クロスボーダー取引によって処理の複雑性が増している、⑤法外なコストがかかる、などが挙げられます。欧州大陸の金融機関はまた、マニュアル業務への依存、株式業務の縦割り構造、国および全体の組織内における決済メカニズムの相違といった固有の課題にも直面しています。
「しかし、規制からの要求とそれへの対応が、これらの障害克服への弾みとなるでしょう」と、セレントのアナリストで共同執筆者のデビット・イーストホープは述べています。具体的な内容は、①コーポレートガバナンスとオペレーショナル・リスク管理の強化、②人員問題の解決、③資金と証券の同時決済実現への取り組み、④統一欧州決済システムへの収斂、⑤金融機関にとってコーポレートアクションに関連する処理の自動化でより大きな成果が見込まれるオフショア拠点への進出、などです。
この結果、コーポレートアクションの自動化に対する関心が高まり、この市場への投資も拡大するとみられます。セレントの予測では、2006年のコーポレートアクション関連ソリューションへの投資額(社内開発と外部委託を含む)は2億ユーロ強になる見通しです。銀行や運用会社の多くが現在は自社開発を選択しており、社内開発費が投資額全体の75%を占めていますが、この比率は2010年には55%に低下するとみられます。逆に、外部サービスへの投資額は現在の年間4,600万ユーロから2010年には1億1,300万ユーロ(5年間の伸び率は年率20%)に達するでしょう。また、コーポレートアクションのデータスクラビングサービスへの投資額は2010年には年間3,000万ユーロを超える見込みです。
本レポートは8図と5表を含む全35ページで構成されています。