急成長の注目分野:ヘッジファンド テクノロジー
Abstract
(このレポートは2004年4月21日に"A Cottage Industry Goes Mainstream: Hedge Fund Technology in the Spotlight"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2005年8月4日に発行しました。)
ヘッジファンドに影響を及ぼす市場の勢いは、無視できない程大きくなっています。新たな規制強化や既存の大手投資顧問会社の市場参入が、ヘッジファンド業界の様相を変えているのです。
セレントの最新レポート「急成長の注目分野:ヘッジファンドテクノロジー」は、ヘッジファンド向けに開発された多様なアプリケーションを紹介するとともに、ファンド・アドミニストレーターやプライム・ブローカーなどのアウトソーシングサービスの概要をまとめています。また、現在の市場動向そして今後の予測も取上げています。
プライム・ブローカー、ファンド・アドミニストレーター、ITプ ロバイダーが現在ヘッジファンドのマネージャーに対して積極的なアプローチを展開しています。三者とも、ヘッジファンドに対する付帯サービスの提供やソリューションの新規開発・機能向上などを意欲的に進めています。「ヘッジファンドマネージャーは、あまりにも多くのプロバイダーからの売込みを一身に受ける羨むべき存在になっています」とセレントのアナリストで本レポートの執筆者であるデニース・バレンタインは述べています。
ヘッジファンド市場が盛り上がりをみせる中、各ヘッジファンド会社は競争力を維持するためのシステム強化に乗り出しています。しかし、大方のヘッジファンドはシステムの自社開発を避けるだろうとセレントは見ています。自社開発によるソリューションのほとんどが、専門のITベンダーが提供する製品に比べて競争力で見劣りがするからです。
ヘッジファンド会社は、ITベ ンダーの助力を得て、システムインフラの改善とシステムによる顧客サポートの強化を実現したい意向です。正規のビジネスプロセスを踏まえたソリューション の導入は、社内管理基盤の確立に直結し、ファンドの将来性や顧客に対する信頼性を向上させます。
米国証券取引委員会(SEC)がヘッジファンド会社の登録制を採用するのは時間の問題とみられています。社内管理体制を確立して将来の競争激化に備えることこそ、新時代に向けた前向きな姿勢といえるでしょう。
注)当レポート発行(2004年4月)後の2004年10月、SECは投資マネージャーに対する規制を強化する改正法案を決定しています。このSECの規則改正により、投資顧問法の登録免除規定の解釈が変更され、SECへの登録対象が拡大されました。尚、この改正規則の施行は2006年2月からです。