KYC/AMLにおけるAIの活用:効率アップの処方箋
Abstract
規制の厳格化とコスト圧力の増大は、金融機関の顧客確認(KYC)およびアンチマネーロンダリング(AML)業務に深刻な影響を及ぼしています。人工知能(AI)対応ソリューションを使うことで、現在抱えている課題の軽減、効率性の向上、コスト削減が可能になるでしょう。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 銀行にとってKYC/AMLは資源集約度の高い業務か? |
2 |
KYC/ AML業務の主な課題は何か? |
3 | AIソリューションは銀行のKYC/AML業務をいかにサポートできるか? |
本レポートは、金融機関を悩ませているKYCおよびAML業務の課題を取り上げ、AI対応ソリューションをいかに有効活用すればこうした課題の軽減につながるかを提案しています。
複数の銀行に取材したところ、現在直面している難題として、次の点が挙げられました。
- 常に進化する規制に遅れることなく対応すること
- 世界的な規制の変化を、自行の地域のコンテクストで解釈し、順守すること
- 複数の業務部門や国の多数のソース、システムから情報を収集し、更新すること
- 増え続ける構造化・非構造化データを管理・分析し、それらのパターン、ネットワーク、受益権所有者を特定すること
- 厳しい経済環境の下でコストを抑制すること
銀行のコンプライアンス部門は拡大傾向が続いていますが、規制および業務上の課題を克服する上で人員増が最も有効な方法であるとは限りません。
「従来のルールに基づくKYCおよびAMLシステムは、マニュアル作業に大きく依存せざるを得ません。特に、アラート調査はコストが膨らむ上、エラーが発生しやすく、非効率な作業です。AI対応ソリューションを使えばプロセスの大部分を自動化できるだけでなく、構造化・非構造化データを分析できる高度な機能を通じてより優れたアイデアを提示できるようになります」とセレント証券プラクティスのアナリストでレポートの共著者であるアリン・レイは述べています。
「銀行はKYC・AML業務におけるAIソリューションの検討・導入に興味を示し、それらが既存のインフラにどのような影響を及ぼすのか把握しようとしています。今後、AIソリューションの導入は、まずは、取引件数が多く、複雑な業務を抱える大手グローバル銀行から始まるでしょう」とアジアのシニア・バイス・プレジデントでレポートを共同執筆したニール・カタコフは話しています。
レポートではまず、銀行、金融機関のKYC/AML業務の現状について説明し、次にその課題を取り上げ、これらの課題を解決する上でAI機能を活用した新たな革新的ソリューションがどのように有効かを示し、最後に、KYCおよびAML業務の進化の方向性を予測します。
本レポートはMphasis傘下のフィンテックベンチャーNextAnglesの委託を受け、セレントの全面的な編集権限の下に執筆されたものです。