韓国のリテール投資市場
Abstract
韓国は世界でも個人投資が活発な市場の1つで す。同国の個人投資家の22%はアクティブトレーダーで、その1日当たりの売買高は市場全体の5%を占めています。また、個人のデリバティブ市場も発達し ています。金融規制緩和を背景に、個人投資家にとって投資先の選択肢は一段と広がっています。
セレントの最新レポート「韓国のリテール投資市場」は韓国市場の過去および将来の成長、市場機会の大きさ、最近の競争 環境などに焦点を当て、市場の概要を明らかにしています。韓国のリテール市場は取引が活発なだけでなく値動きも大きいため、投資家は予期せぬ市場の動きに 敏感になっています。2002年から2005年にかけて弱気相場が続いた結果、個人投資家の取引口座数はピーク時の800万から350万まで減少しまし た。2006~2007年の強気相場は新たに多くの投資家を呼び込みましたが、現在の市況を背景に再び新規の市場参加者数が伸び悩んでいます。
韓国の証券市場は細分化されており、規模の異なる証券 会社が多数参入しています。商品やサービスの差別化は進んでいないため、主に価格競争力で優位に立つ参入者が大幅な市場シェアを獲得しています。個人投資 家のデリバティブおよび株取引の50%以上は、携帯電話を含むオンライン取引によって執行されています。ただし、オンライン取引を行う投資家がアクティブ トレーダーであるとは限りません。アクティブトレーダーの一部は、いまだに地元の証券会社に直接出向くか、電話を通じて発注を行っています。
デリバティブ取引への関心は非常に高いものの、商品の内容やリスクに関する教育の機会がないためにこうした商品を敬遠する投資家も見られます。また、デリ バティブ取引で損失を抱えた投資家は、ミューチュアル・ファンドなどより安全性が高いと思われる商品に乗り換えています。同国では1998年に初めて ミューチュアル・ファンドの販売が行われ、2006年と2007年に売買高が急増しました。
「デリバティブへの関心が高いにもかかわらず、韓国の規制環境や証券会社の保守的な体質がネックとなってその商品レンジは限られています。来年に予定され ている『資本市場統合法』の施行を機に新たなデリバティブ商品が市場に投入され、特にアクティブトレーダーによる取引の拡大が後押しされるでしょう」とセ レントのアジアリサーチグループのヘッドでレポートを共同執筆したニール・カタコフは指摘しています。
本レポートは21図を含む26ページで構成されています。