世界のレポ取引市場:次は担保管理
Abstract
レポ取引の残高は金融危機前の水準をなお下回っており、米国では1日の取引残高が平均4.5兆ドル(出典:米国証券金融市場協会(SIFMA))、欧州では5.5兆ユーロ(出典:国際資本市場協会(ICMA))にとどまっている上、今も減少傾向にあります。そのため、一見したところ、レポ市場の将来に明るさはないように思われます。
米国のレポ市場が非常に成熟しているのに対し、欧州の対顧客レポ市場ではやっと多様な取引が行われるようになり、三者間取引にするかニ者間取引にするか、集中清算を行うか否かなど、いまだ方向性が定まっていないのが現状です。
世界的には、ジェネラル取引による安全な資金調達を可能にするベンチマーク指標の算出・公開を目指す動きが活発化しています。欧州の市場は細分化しているため、こうしたプロジェクトは欧州より米国で成功する事例が多くなっています。
一方、レポ市場に直接または間接的な影響を及ぼすグローバルおよび各地域の規制が相次いでおり、これらが資本市場全体にも劇的な連鎖効果をもたらすとみられます。
「最近まで市場参加者にとって、レポ取引は高い技術が求められ、分離された分野と考えられてきましたが、担保管理の価値連鎖を構成する不可欠な要素といえるでしょう。この分野は今やビジネスチャンスになっています。レポ取引に精通した市場参加者は、これを生かして担保サービスを提供することも可能です」と、シニアアナリストでレポートを執筆したジョセフィン・ドゥ・シャズルネは述べています。
レポートでは、世界のレポ市場の最近の取引残高や市場構造の変化、また、プレ・トレードおよびポスト・トレードに関する市場インフラの変化に伴い、担保管理の価値連鎖上においてレポ取引が中心的な役割を担うようになった現状を説明し、将来のインフラ環境でレポ取引のスキルをいかに活用すべきか提言しています。