北米銀行のIT投資動向
Abstract
北米銀行のIT投資額は、2006年の460億米ドル(約5兆670億円)から2007年には4.1%増の479億ドル(約5兆2800億円)に拡大しました。不透明な市況を考えると、2008年はIT投資額の伸び率が数年ぶりに減速し、前年比3.6%増の500億ドル(約5兆5080億円)弱にとどまると予想されます。
セレントは最新レポート「北米銀行のIT投資動向」で、米国およびカナダの銀行のIT投資動向の調査、分析、比較を行っています。2007年の投資額伸び率は横ばいを維持しましたが、2008年は数年ぶりに伸び率が減速する見通しです。
カナダの大手銀行の中には米国のサブプライムローン問題に伴う損失を出したところも多少みられましたが、IT投資への影響はほとんどないと思われます。カナダの銀行の多くは引き続き好調な利益を上げており、カナダドル高によるメリットも享受しているため、今後も投資に資金を振り向けるでしょう。2008年のIT投資額は4.3%増の65億米ドル(約7160億円)が見込まれます。
「信用逼迫や景気の不透明感を背景に、米国の銀行は財布の紐を引き締めています。あらゆる規模の銀行が予算を削減し、コストを抑制することに注力し、その結果、多くのITプロジェクトが見送られ、IT資源を巡る社内の競争も激しくなるとみられます。予算はコンプライアンスおよび規制関連投資や保守管理費用に優先的に振り向けられ、IT投資は後回しにされるでしょう。市場ではなお熾烈な競争が繰り広げられていることから、銀行は難しい立場に立たされるでしょう。」」とセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでレポートの共同執筆者でもあるジェイコブ・イエーガーは述べています。
本レポートでは、地域ごとのIT投資額をリテール業務とホールセール業務、社内と社外に分けて比較し、保守管理と新規投資にあてられる投資額を比較しています。また、北米銀行業界における2008年のテクノロジーの主要トレンドや成長分野についての概要も述べています。
レポートは7図と1表を含む21ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2007年11月30日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。