複合イベント処理:アルゴリズム取引にとどまらないその用途
Looking Beyond Algorithmic Trading
Abstract
トレーディングに関する最新テクノロジーの1つとして、複合イベント処理(CEP)に注目が集まっています。金融業界向けCEPソリューションの市場は現在1億1,500万ドル前後(約94.5億円)と推計され、今後2年間は年率約30%のペースで拡大するとみられています。
ここ2年ほどで取引処理の自動化が進み、システムが処理するデータ量は飛躍的に増えています。取引所や金融機関はデータ処理能力の拡大を迫られ、大量データに対応できるようITインフラを更新していますが、それに伴い、膨大なデータの検索を可能にする最新分析ツールへのニーズが高まっています。CEPは継続的でよりきめ細かいリスクモニタリング・アプリケーションとしても利用可能なため、2008年の金融危機も需要の拡大に拍車をかけています。
セレントの最新レポート「複合イベント処理:アルゴリズム取引にとどまらないその用途」は、金融業界でCEPテクノロジーを様々な用途に採用しようとする動きが広がっていることに着目し、その試みを分析しています。同テクノロジーはこれまで主に金融業界以外で採用されてきましたが、特定のパターンに高スピードで反応できる能力やリアルタイムデータの活用を可能にする能力は、資本市場のプレーヤーにとっても魅力的といえるでしょう。
出典:セレント
「金融機関は、CEPを使って取引執行に関連した様々な業務のサポートを実現しています。一方、CEPの持つリアルタイム機能や高度な機能がメリットとなるにもかかわらず、取引執行そのものの自動化には消極的なスタンスをとっています。CEPには組織全体に大きな付加価値をもたらすことのできる様々な用途が考えられ、ベンダーはアルゴリズム取引以外の利用方法を模索する必要があるでしょう」と、セレントのアナリストでレポートを執筆したムラリダール・ダザールは述べています。
レポートでは、資本市場の金融機関によるCEPソリューションの採用状況とその用途を明らかにしています。また、CEP市場で進行している再編の動き、大手テクノロジーベンダーの参入状況、主要製品の市場での位置付けと特性についても取り上げています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2012年3月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。