インドにおけるDMAの影響
Abstract
インドの機関投資家によるDMA(ダイレクト・マーケット・アクセス)導入の動きは、同国が先進テクノロジーに基づく効率的な電子取引インフラに移行しつつあることをうかがわせます。セレントは、今後 数年間に市場参加者の間でDMAの普及が広まり、DMAを通じた取引が拡大するとみています。
セレントの最新レポート「インドにおけるDMAの影響」は、インドにおけるDMA普及の背景を探っています。具体的には、DMAの成長の原動力と導入のニーズ、市場参加者の構成をめぐる変化のトレンド、さらにはこうしたトレンドがDMAによる取引全体の成長性に及ぼす影響などに注目しています。
DMAは先進市場の欧州および米国で広く普及しています。バイサイドの市場参加者はこのチャネルを使うことで、①取引管理の強化②執行スピードとクオリ ティの改善③複雑な取引戦略の促進④市場と流動性の集約化⑤規制遵守の強化⑥取引手数料の引き下げ―などを実現できるようになりました。従って、DMAに よる取引が市場全体に占める割合が米国で15~18%、欧州では8%にそれぞれ上昇したことも当然であると考えます。これらの市場におけるDMAの成功を 受け、果たしてインドでも同様の普及が見込めるかという疑問が投げかけられています。その答えは「間違いなく普及する」です。
「インドでは、特にブローカーサイドで市場の非効率性 が露呈するなど、市場環境はDMAの普及や利用に向けて期が熟しつつあります。大手証券会社は競うように取引システムを強化し、他に先駆けてDMAサービ スを提供しようとしています」と述べるのはセレント銀行プラクティスのシニアアナリストでレポートを執筆したサンディープ・ヘバーです。
機関投資家やアクティブに取引を行うバイサイドの金融機関を顧客に持つ大手証券会社の大部分はDMAサービスを提供する体制を整えつつあり、2008年末 までには大規模な取引が開始される予定です。セレントは、DMAによる取引が市場全体に占める割合は2010年までに11%に達するとみています。現在、インドのDMAソリューション市場は国内のテクノロジーベンダーが支配しています。
レポートではまず、欧米でDMAの急速な普及を可能にした成長の原動力を明らかにしています。次に、インド市場の構造と市場の不効率性を分析し、DMAが 普及する環境が整っているかどうか検証しています。さらにプロバイダーおよびユーザー市場の分析に基づき、潜在的なDMAプロバイダー/ユーザーやDMA 取引件数を予測しています。最後に、DMAソリューションと国内市場向けサービスを提供している大手テクノロジープロバイダーを紹介しています。
本レポートは17図と2表を含む全32ページで構成されています。