形勢を一変させる競争上の差別化をもたらすAI:セレントによるインタビューと調査からのインサイト
インタビューとサーベイからのインサイト
Abstract
AIを活用している銀行は、形勢を一変させる差別化を実現する態勢にある。過去3年間で、コーポレートバンキングにおけるAIは、実験環境から本番環境へ、更にはミドルオフィスとバックオフィスからフロントオフィスへ移行してきた。セレントは、複数のサーベイと、銀行、フィンテックおよびAIテクノロジーベンダーへのインタビューを基に、コーポレートバンキングはAIの導入に関して、先駆者の段階から早期導入者の段階に移行したと推測している。
形勢逆転に向けた「ゲーム」は既に始まっている。セレントによるAI in Action Survey (2021年4月実施)では、回答者の実に86%が、AIは競争上の差別化を実現する上で「非常に」または「極めて」重要であると回答し、14%がトレジャリー・トレードサービス部門で10件以上のAIプロジェクトを実施中と回答している。
AIイニシアチブはフロントオフィスへと移行し、新しい顧客エンゲージメントと従業員イネーブルメントモデルの推進力となっている。顧客対面型のインテリジェントな仮想エージェント、予測的アナリティクスおよび処方的アナリティクスへの投資がトップを占めている。また、顧客アナリティクスでフロントオフィスのスタッフのパフォーマンス向上を図ることも重要な焦点になっている。
しかし、形勢を一変させる競争上の差別化を実現するまでには、長い困難な道のりがある。まず、成功は複数のソフト要因とハード要因にかかっている。最も重要なのは、従業員の賛同を含む、効果的で協調的な組織ダイナミクスである。更に、データの4C (capture:獲得、clean:整理、cache:格納、call:呼び出し)をマスターするには、献身的に忍耐強く、継続的にトレーニングを受ける必要がある。
本レポートは、セレントのAI in Action survey (2021年4月実施)、銀行、フィンテックおよびAIテクノロジーベンダーへの最近のインタビュー、2018年にAIテクノロジーベンダーを対象に行ったAI in the UI Benchmarking Surveyの結果を総括したものである。