中南米の保険会社におけるBPOの市場調査: 委託契約の分析
Abstract
中南米の保険会社による保険中核業務のビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)について、今後の議論の下地となる観点を提供するため、保険会社およびBPOサービス・プロバイダーから入手したデータに基づき、現在の利用状況を調査しました。
中南米の保険業界におけるBPO動向に関するレポートは、今回が初めてですが、調査に参加したグローバル・ベンダーの委託契約件数は、予想を下回りました。BPOプロバイダーが提出した委託契約データによると、中南米市場における委託契約は総収入の中で占める割合はかなり小さく(金額ベースで5百万ドル未満)、生命保険会社またはマルチライン保険会社のいずれかと契約していました。委託契約相手は、Tier 1からTier 3までの保険会社の間に均等に分布しており、短期の契約(1~3年)が長期の契約より一般的でした。
本レポートでは、市場規模を調査し、今後どう進化するかについての見通し、主要な市場のトレンドと調査結果を示し、BPOプロセスについての指針を提供しています。
「BPOを採用する保険会社にはいくつかの種類があります。本レポートで取り上げた保険会社は現在BPOを採用しているわけですが、中南米の保険会社は一般的に遅れ気味で、BPOによる支配権の喪失のリスクなどを理由に外部委託を行わないとしている会社が見受けられます。こうした考え方に、経済の不確実性が拍車をかけていると考えられます。」と、セレントの保険グループのアナリストで本レポートの共同著者であるカレン・モンクスは述べています。
「これまで、保険会社におけるBPOの主な目的は、コスト削減でした。中南米では、現在もそのように考えられています。しかし、中南米以外の地域においては、保険会社がより複雑な作業をアウトソースしようとし、BPOの焦点はプロセスの効率性および有効性に移ってきています。。中南米の保険会社が外部委託の採用において成熟化するにつれ、同様の傾向となるでしょう。これまで費用節減および効率性に注目が向けられていましたが、中南米の保険会社も、デジタル、アナリティクス、イノベーションなど実現に向け、BPOの戦略的な投資へと移行し、保険会社とプロバイダーの双方に全く新たな世界が開けるかもしれません。」と、セレントの保険グループのシニア・アナリストで本レポートの共同著者である ホアン・マツィーニは述べています。