2016年 北米の大手銀行の勘定系システム
Abstract
勘定系プラットフォームは銀行口座の動きを記録する中枢システムであり、銀行のあらゆる業務を支えるテクノロジー基盤となるものです。勘定系システムの入れ替え作業は、飛行中の航空機のエンジンを取り換えるようなものだと言われてきました。これには多額のコストと高いリスクが伴います。従って、金融機関にとっては最適なベンダーを選定することが重要になります。
多くの銀行は変化に対する抵抗感が強く、導入後数十年が経過しているシステムをいまだに運用しているというのが現状です。ここ10年はデジタル化や販売チャネルの変革に伴い、こうしたプラットフォームにかかる負荷はさらに増しています。顧客が進化を求め続けるなか、多くの銀行は自社の勘定系システムでは時代のニーズに十分対応できないことを認識しつつあります。意外に思われるかもしれませんが、単一の「最適な」勘定系システムというものは存在しません。各プラットフォームには長所と短所があるものの、それぞれが特定の市場またはセグメントに対応するよう設計されています。
複数のシステムの中から1つを選ぶ上で主な決め手となるのは、各金融機関固有のニーズでしょう。大手銀行の市場では、勘定系システムの入れ替えという「荒治療」が目下の課題となっています。大手銀行の場合、ライセンス料やシステム維持に係るコストが減少する一方、既存のITエコシステム内で勘定系システムが稼働し続けられるよう機能、ワークフロー、インターフェースをカスタマイズするための投資の方が大きくなっているからです。
「銀行が、モバイルバンキングなどの新たなサービスに関連したバックオフィス機能を勘定系システムそのものではなく外部のバックオフィスシステムに実装してきたのは、古い勘定系システムを常に更新し続ける必要があったからです」と銀行プラクティスのシニア・アナリスト、ジェームス・オニールは述べています。
「銀行は、自社の勘定系システムが新たな銀行サービスの迅速な投入を阻む要因になっていることを認識しています。だが多くの場合、ミドルウェアや次善策となるその他のテクノロジーを使って対応することで、勘定系システムの総入れ替えを回避してきました」とアナリストのスティーブン・グリーアは指摘しています。