暗号経済の道標:JPMorgan、メタバースのファーストムーバー・バンク
トレジャリーサービスとペイメント
グッチ、ルイ・ヴィトン、ナイキ、ウォルマート、コカ・コーラに続き、JPモルガンはDecentralandのOnyx Loungeでメタバースに参入した。JPモルガンの革新的な動きは、トレジャリーサービスとペイメントの両方の側面を持つ。
メタバースとは?
Merriam-Websterはメタバースを 「人々が社交、遊び、仕事のために集まる没入度の高い仮想世界」と定義している。
現在、数多くの仮想世界が存在し、Web2.0(GoogleやMetaなどのプラットフォームプレイヤーが支配する、つまり中央集権的な今日のインターネット)から生まれたものもあれば、Web3.0(ブロックチェーン上に構築された、ユーザーが所有・管理する分散型のインターネット)から台頭してきたものもある。Web2.0の代表的なメタバースには、Fortnite、Roblox、World of Warcraftなどがあり、Web 3.0メタバースには、Decentraland、Sandboxが含まれる。
より詳しい定義は、CelentのブログWeb 3.0 and other DeFi-nitionsをご参照。
Decentralandとは?
Web3.0のトップレベルのmetaverseへ参加するには、MetaMask、Fortmatic、WalletConnectのいずれかの暗号ウォレットが必要である。
DecentralandにあるJPMorgan loungeのOnyx
なぜメタバースが重要なのか?
モバイルインターネットの後継になる可能性がある。その可能性を示す数字:
·バーチャルグッズへの支出:年間$54B、これは2019年の世界の定額制ビデオオンデマンドへの支出に相当(Matthew Ball VC、Statista)
·Robloxの1日のチャットメッセージ:25億通、これはFacebookメッセンジャーの7億通より多い(2021年)
·ノンファンジブルトークン(NFT:ブロックチェーン技術で構築されたデジタル商品)の所有権:410億ドル、デジタル音楽の世界売上の1.5倍程度(Statista)
·潜在的なユーザー市場:世界のゲームユーザー2億5000万人(Grayscale)
Onyxとは?
Onyx は、2020年10月に発表されたブロックチェーン関連ソリューションの商業化を目的としたJPMorgan内のビジネスユニット。
JPモルガンがBUを立ち上げた背景:
伝統的な金融サービスと革新的なテクノロジーの交差点で活動する機会は、新しいビジネスユニットOnyxのビジョンを実行するためのユニークなポジションを実現:
·Onyx は伝統的な商品・サービスは提供しない
·他の金融機関や企業が利用できるプラットフォームやアプリケーションを構築する
その新しい価値提案は、JPMorganの歴史的なビジネスモデルに挑戦するもの:
·Partiorは、伝統的なクリアリングモデルに挑戦
·JPMCoinは、流動性管理サービスに挑戦
·Liinkは、情報の流れと収益モデルへの挑戦
·Onyx Digital Assetsは、伝統的なアセットエコシステムに挑戦
詳細については、セレントレポート「Mapping the Crypto Galaxy Part 1: Transaction Banking and Payments」をご参照。
JPモルガンのメタバース・バリュー・プロポジションとは?
JPモルガンは、テクノロジー、メディア、テレコム(特にゲームやEコマースのプラットフォーム)の顧客に対して、決済、トークン化(金融資産の創出)、トレーディング、カストディのサービスを提供し、メタバースでのマネタイズを支援することに努めている。
「メタバースにおける構築とスケーリングの成功は、ユーザーが物理世界と仮想世界をシームレスに接続できるような、堅牢で柔軟な金融エコシステムを持つことにかかっている。当社の決済・金融インフラへのアプローチにより、その相互運用性を高めることが出来る。
現在のバーチャルゲームの世界(各仮想世界における人口、GDP、ゲーム内通貨、デジタル資産)には、現実の世界経済と類似する要素がある。仮想世界での消費者向けのアットスケールな足がかりに加え、長年の現実世界でのコアコンピタンス、例えば国境を越えた決済、外国為替、金融資産の創出、取引、保管などが、メタバースでの成功に大きな役割を果たす。」
さらなるインサイトについては、JPMorgan のホワイトペーパー「Opportunities in the Metaverse」をご参照。