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世界の金融業界のIT投資動向

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2010/01/14

Abstract


世界の金融業界における2010年のIT投資額は、前年比2.9%増の3574億米ドル(約33.4兆円)に達する見込みです。2009年には2.5%減を示したことを考えると、これは目覚ましい成長だと言えます。2010年も困難な年になりそうですが、IT投資額は2012年には3935億米ドル(約36.8兆円)まで増加し、2010〜2012年の年平均成長率は4.9%となるでしょう。

セレントの最新レポート「世界の金融業界のIT投資動向」では、各種金融部門(銀行、保険、証券)とさまざまな地域(北米、欧州、アジア太平洋、中南米、アフリカ)におけるIT投資動向を分析しました。中でも特に、各金融機関のIT投資動向に見られる方向性の比較・対照に焦点を当てています。

欧州と北米の金融機関におけるIT投資額は現在、ほぼ同程度となっています。各地域の金融機関のIT投資額が全体に占める割合は、欧州企業が36%、北米企業が33.1%、アジア太平洋が25.2%、中南米とアフリカが残りの5.7%となっています。

IT投資額の成長率が最も大きいのはアジア太平洋の金融機関で、2010年には5.1%、さらに2010 〜2012年には年平均成長率が6.2%になると予想されます。この地域のIT投資額は今後も成長を続け、2012年には1017億米ドル(約9.5兆円)に達する見込みです。中南米とアフリカでは3%と、やや控えめな成長率になるでしょう。この地域での2010年のIT投資額は204億米ドル(約1.9兆円)程度だと思われます。

「困難な年であった2009年を終え、どの地域でも成長率が上昇しはじめています。2010年は転換期となりそうですが、依然として業界には多くの面で不確実性が残っており、混迷から完全に抜け出した状態ではありません」とセレント・バンキンググループのシニアアナリストで本レポートを共同執筆したジェイコブ・イエーガーは述べています。

「金融危機による打撃を最も受けた欧州と米国の金融機関では、2010年もその影響に悩まされることになるでしょう」と彼は付け加えています。

本レポートは32図と21表を含む82ページで構成されています。

注)ドルから日本円への換算レートは、2009年12月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。