巨額の担保をいかに最適化するか:ストラテジーおよびテクノロジー
Defining Principles, Strategic Planning, and Technology
Abstract
2013年末までにOTC(店頭)デリバティブ取引のうち40~50%は清算機関の利用が義務づけられるとみられ、必要とされる担保金額は2兆5,000億ドル(約195兆円)に上る見通しです。これに伴い、金融機関は社内で保有する担保の最適化と同時に、担保の受け渡しサービスを提供するカストディアン、ディーラー、決済機関の利用を進めるとみられます。
世界の各市場でOTCデリバティブ取引における中央清算機関の利用が一般化するにつれ、「いったいそれだけの担保をどこから確保するのか」という声が当然、取引関係者の間で聞かれることでしょう。セレントの最新レポート「巨額の担保をいかに最適化するか:ストラテジーおよびテクノロジー」は、金融機関が担保の最適化をどのように計画・実行すればよいかという疑問を解決するための戦略、手法、テクノロジーについて議論しています。
カストディアン、ディーラー、決済機関など多くの金融機関は、担保の受け渡しや更新サービスを顧客に提供することを検討しています。しかし、これら外部のサービスプロバイダーが受け渡し可能な担保の額には上限があります。そこで、こうした金融機関は自らの資産を自らのニーズに応じて最適化する一方、クリアリングサービスを通じて顧客に担保の最適化サービスを提供できるインフラを整備する必要があるでしょう。
「担保の最適化にあたっては、フロントオフィスが中核的役割を担う方向に進みつつあります。フロントオフィスが、担保の順位付け戦略に基づいて取引の意思決定を行うのです。長期的には、リスクと資本をともに最適化して全体的な成果を得られるよう、担保最適化の戦略的アプローチを策定する必要があるでしょう」と、セレント証券グループのアナリストでレポートの共同執筆者であるメディ・アガミは述べています。
「担保最適化がどこまで進むかは、いかに高度な分析手法を確立できるかだけでなく、幅広い情報エコシステムと連携し、タイムリーに導入できるかどうかにかかっているでしょう。金融機関はその他のリスクや規制改革の動きをにらみつつ、進めていかねばなりません。多くの金融機関は既に取り組みを始めていますが、なお長い道のりが続いています」と証券グループのリサーチディレクターで共同執筆者のキュビラス・ディンは述べています。
レポートでは、担保最適化プロセスへの青写真を描くための基礎となる分析、担保最適化をめぐる課題、また金融機関がこれらの課題にいかに対応しているか、さらには市場に出現しつつある最新テクノロジーについて議論しています。最後に、担保最適化の今後の方向性を示すアイディアや枠組みを提示しています。
このレポートは19ページ、5図と1表から構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2012年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。