ナスダック市場の注文執行クオリティ
Abstract
ナスダック市場では電子発注システム(EOB)が取り扱い銘柄のシェアで引き続き圧倒的な優位にあり、その累積シェアは前回調査を行った2013年9月時点の76%から78%に増加しています。一方、マーケットメーカーのシェアはこの間に23%から21%に低下しています。
セレントの最新レポート「ナスダック市場の注文執行クオリティ」は、2013年10月1日から12月31日までの3ヵ月間に執行された160億件を超える売買注文の分析結果をまとめたものです。セレント証券グループ・シニアアナリストのアンシュマン・ジャスワルが、140の市場参加者を注文執行スピードと約定価格に基づいて評価し、ランク付けしています。
総合ランキングで評価が高かったのはBATS Exchange、NYSE Arca、Barclays ATSおよびLavaFlowで、BATS Y-Exchangeがトップになりました。このほかEDGA ExchangeとEDGX Exchange、Knight Capitalも上位にランクされています。マーケットメーカーやEOBといったマーケットセンターのタイプ別にみると(下図に色別で表示)、同じタイプのマーケットセンターのランキングは同レベルに集中していることがわかります。ただし、この傾向は以前の調査よりは弱まっています。
表1はEOBの総合ランキングを示しています。約定価格の改善ではNYSE Arca、BATS Y-ExchangeおよびBATS Exchangeが上位にランクされ、注文執行スピードでもBATS Y-Exchange、NYSE ArcaおよびBATS Exchangeが上位に選ばれました。今回の調査では、これら2つのカテゴリーを総合したランキングでNYSE ArcaとBATS系の2つの証券取引所がトップ3を占めています。
表2はマーケットメーカーを比較した結果をまとめたもので、約定価格の改善ではゴールドマンサックス、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチ、Interactive Brokersがトップにランクされたのに対し、注文執行の平均スピードではバークレイズ・キャピタル、 Interactive Brokersとバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが最も高い評価を受けました。総合ランキングではInteractive Brokersとバンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが他をリードしています。