キャピタルマーケットにクラウドの時代到来:さらなる拡大へと広がる青空【抄訳版】
本レポートはColtの協賛を得て、証券プラクティスのブラッド・ベイリーとアリン・レイが執筆しました。
Key research questions
- キャピタルマーケッツにおけるクラウド導入モデルとは?
- キャピタルマーケッツにおける新たなユースケースとは?
- クラウドサービスとマネージドサービスの今後の課題は?
Abstract
(英文レポート"The Cloud Comes of Age in Capital Markets: All Clear for More Cloud"の重要部分を抽出し翻訳しました。)
キャピタルマーケッツではクラウドに基づくサービスの導入意欲が限界点に達しており、近い将来には一部の主要機能でクラウドが主なデリバリーモデルになるとみられます。
キャピタルマーケッツでクラウドの採用を促す主な要因として、①コスト削減圧力②新たなソリューションを短期間で作成できる柔軟性③柔軟なインフラに対するニーズ④可能な限り有効なデータの管理および利用―の4つが挙げられます。さらに規制上の課題、マクロ経済の不確実性、フィンテックの台頭などもこうした流れに拍車をかけています。クラウドはこれらの課題を解決できる手段として登場し、金融機関が常に変化する規制要件や取引アプリケーションの多様化、さらには複数の流動性ソースに迅速につながる必要性に対応できるよう、機敏性の高いインフラを提供しています。
中核・専有データ以外のデータをクラウド環境に移管することは広く受け入れられるようになっていますが、フロントオフィス機能や専有データまたは顧客データのクラウドへの移行は今のところ後回しになっています。ただ、金融機関はクラウドの実績および安全性への信頼を強めており、そうした姿勢も変化しつつあります。
クラウドの安全な導入のために、よりよい接続性が求められており、スピードが速く待ち時間が短く、パフォーマンスと安全性も勝る、クラウドへの専用のプライベートアクセスがキャピタルマーケッツには適しています。
「クラウドに対する懸念は、その安全性、パフォーマンスから、規制に準拠しつつ導入するベストプラクティスへと急速にシフトしています。こうした懸念はクラウドに限らず、あらゆるテクノロジーに共通するものです。クラウドに対する金融機関の姿勢も『導入を考えていない』から『いかに導入するか』に変わってきています」とリサーチディレクターのブラッド・ベイリーは述べています。
「新たなソリューションの構築や既存のソリューションの入れ替えが必要な場合、クラウドは常に最適な選択肢として上がります。導入に失敗してもコストが低く抑えられる上、柔軟性と拡張性が高いためです。長期的には、レガシーシステムの移行に伴う障壁を下げ、クラウドの普及拡大へと続くでしょう」とアナリストのアリン・レイは指摘しています。