マルチチャネルバンキング:希望を実現するための方法
Abstract
今後3年間で、銀行のセールスに占める代替チャネルの割合は20%に達するとみられ、それにより支店では業務時間の20%を他の業務に振り向けられるようになるでしょう。セレントが調査を行ったリテール銀行の70%は、顧客経験の改善と顧客サービスコストの削減が最優先課題であると回答しています。
オリバーワイマンの最新レポート「マルチチャネルバンキング:意欲を現実に変えるための方法」ではフランス、ドイツ、イタリア、スペイン、英国に拠点を置く欧州のリテール銀行30行を対象に行った調査結果を分析しました。マルチチャネルを重視する傾向は明らかで、先進的な銀行の多くは今後3年間にインターネットをはじめとする代替チャネルが販売数量の最大20%を占めるようになると予想しています。レポートでは、競争力の差別化と顧客価値の創造に向けたビジネスチャンスは、商品から販路に移行しつつあると論じています。しかし、マルチチャネルを実現するには、なお組織上および業務上の課題が残っています。
欧州のリテール銀行はインターネットおよびモバイルバンキングの急拡大を十分認識しているものの、顧客に商品・サービスを提供する能力からみればいまだ支店が圧倒的なトップを維持しています。しかし、今回の調査では、支店の影響力は弱まりつつあるとの回答が目立ちました。
本レポートは、リテール銀行に向けて以下の3つの方法を提言しています。その主な目的は、各チャネルから得られる利益の最大化(欧州リテール銀行の多くがいまだ実現できていないこと)を可能にする総合的かつ効率的な販売モデルを実現することにあります。
1. 各販売チャネルの成長性を最適化し、障害を排除し、潜在的な価値を明らかにする。 2. 顧客が選好するチャネルの統合を進め、顧客が本格的なマルチチャネルを利用できるようにするとともにコンタクト管理を改善する。 3. マルチチャネルでビジネスを進められるよう組織およびプロセスを整備する。
「我々の調査は、リテール銀行でマルチチャネルがかつてないほど重要な課題になっていることを示しています。先進的な銀行の多くは、代替チャネルの利用により販売数量を最大で20%拡大しています。これらの銀行は業務に対してより変革的なアプローチをとり、顧客の行動に合わせて持てるリソースを分配しています。その結果、業務時間を少なくとも20%削減することに成功し、顧客満足度の追求といったより価値の高い業務に振り向けることが可能になったと回答しています」とオリバーワイマンのパートナーで本レポートの共同執筆者であるジェローム・バリュは述べています。
このレポートは14図を含む40ページで構成されています。