担保管理ソリューション:不透明な経済環境下での負担を軽減
Abstract
資本不足とボラティリティの上昇が「ニュー・ノーマル」となる状況を受けて金融機関が取り組むべき課題は、①取引相手の信用力低下に対する柔軟性の向上、②商品の枠を超えた担保の徹底的な再利用、③超過担保の最小化、④資金調達の効率化―であるとセレントは考えます。
金融危機の苦い経験から、担保管理の強化に向けた取り組みが強まる可能性があります。これまでも取引相手の信用リスクを軽減することは不可欠でしたが、このところの市場の混乱や注目される信用崩壊の事例を背景に、担保管理の重要性と緊急性が再確認されています。これを裏づけるように、有担保の店頭取引が前年比で大幅に増加しています。
セレントのリサーチ・ディレクターで今回のレポートの共同執筆者であるキュビラス・ディンは次のように述べています。「景気動向が不透明な状況では、担保管理が最善の自衛手段であることに変わりはありません。また、金融危機の発生以降はカウンターパーティ・リスクをさらに軽減する必要性が高まり、担保管理に注目が集まっています。しかし、担保管理機能の一新・更新に向けた取り組みが続いているにもかかわらず、実際の業務やシステムの改善はなかなか進んでいないのが現状です。金融機関が信用リスクの軽減を効率的かつ柔軟に進めるためには、全社規模で担保管理を行う体制が不可欠となっています。今は資本が不足し、経済環境が不透明であるだけに、その必要性は特に高いといえるでしょう。」
出典:セレント
「担保管理におけるベストプラクティスを目指す金融機関は、担保管理をシステムおよび業務の観点から捉えるだけでなく、担保管理に関するあらゆるプロセスを戦略的に統合して、全社規模の取引およびリスク体制を構築するアプローチをとるべきでしょう。担保管理をバックオフィスの受け身的な業務から信用リスク管理機能と連携し、フロントオフィスの取引相手/価格/与信枠の決定と積極的に統合した業務へと進化させることが重要です」とアナリストでレポートの共同執筆者であるスリークリシュナ・サンカーは述べています。
セレントは最新レポートで、担保管理をめぐるトレンドと業務慣行について分析しました。市販されているソリューションが顧客のニーズにどの程度対応しているかを検証し、ソリューションに不足している機能や改善点などを指摘しています。また、業界におけるベストプラクティスを取り上げ、市場で入手可能な様々なソリューションを比較しています。それらのソリューションを評価し、どのソリューションが顧客のニーズに最もよく対応しているかを分析しました。
今回の調査では、金融機関による担保管理機能の強化をサポートするソリューションを開発した6つのベンダーを取り上げ、詳しく検証しました。具体的にはAlgorithmics、Lombard Risk、Misys、Rockall Technologies、Sophis、SunGardの6社です。レポートでは、セレント独自のABCDベンダービューを使ってこれらのソリューションを評価しています。
本レポートは、信用リスクおよび担保管理リスクに関するシステムプロジェクトを計画している銀行、運用会社、ヘッジファンド、保険会社やその他の金融機関にとっても参考になるでしょう。
このレポートは20図と22表を含む60ページで構成されています。