FINOVATEEUROPE:AIが主役に
私は先月、ロンドンで今年も開催されたFinovateEuropeに参加しました。このイベントの2日目に現地で収録されたビデオの中で、すでに一部について紹介しましたが、さらにいくつかの見解をまとめてみたいと思います。
イベントではいつものとおり、初日に様々なフィンテック企業による7分間のデモンストレーションが行われた後、2日目には従来のカンファレンス形式による全体会議と分科会が行われました。初日の最後には、参加者が最も優れたデモンストレーションを選ぶ「ベストオブショー」の投票が行われ、今年は実に興味深い企業が選出されました。
- Corsound AIは200以上の特許を持つテクノロジー企業であり、今回は同社の素晴らしい音声インテリジェンスソリューションのうちの2つについてデモンストレーションを行いました。生成AIの爆発的な普及により、今や詐欺師が人間の声のディープフェイクを簡単に作成できますが、Corsound AIはこうしたディープフェイクの検出に成功し、自社のテクノロジーが標準的な音声認識ソフトウェアよりもいかに優れているかを示しました。さらに、「顔と声を一致させることできる唯一の企業であり、データベースがなくても短い音声サンプルから顔画像を再構築できることを実証した」とアピールしました。
- Tuumは、次世代のコアバンキングソフトウェアのプロバイダーであり、「高い拡張性と柔軟性を実現してメンテナンスコストを低減するマイクロサービスアーキテクチャを備えた、モジュラー型のクラウドネイティブでAPIファーストのバンキングプラットフォーム」を提供しています。同社はすでに10の市場で顧客にサービスを提供しており、その中には、当社が新たに発表したセレント・モデルバンクアワード2024 コアシステムの変革部門の受賞企業であるフィンランドのOP Financial Groupも含まれています。
- Zeedは、公開企業や資産運用会社がAIや動画コンテンツを使い、自社の個人投資家基盤へのアクセスや教育、エンゲージメントを可能にするプラットフォーム企業です。同社はYouTubeやTikTokスタイルの動画フィードを提供し、投資ポートフォリオについて「Spotifyまとめ」型の分析を行うことができます。
その他に、イシュアーとアクワイアラーによるカード事業の収益性向上に役立つSaaSデータ分析プラットフォーム企業であるTorusのデモンストレーションも興味深いものでした。同社のクライアントであるカード事業者は、各取引をさらに深く掘り下げ、スキームの手数料を分析し、必要に応じて顧客のプライシングを最適化することができます。また、印象に残った企業として、 Realmonitor、Easylodge、SkenarioLabsなどがあります。これらは、銀行による融資や住宅ローンのオリジネーションからサービシングに至る各業務の管理向上を支援している企業です。
今年もまたこの場にお招きいただき、主催者の皆さまに感謝申し上げます。午前中は 「Compliance as Leverage (レバレッジとしてのコンプライアンス)」という素晴らしいパネルディスカッションに参加し、データ共有の改善から新しいテクノロジーまで、金融業界が金融犯罪に対抗する様々な方法について議論し、とても有意義なディスカッションとなりました。インサイトに富んだフェロ―パネリストのJason BoudとTom Littlechild、そして巧みに進行役を果たされたMaya Braineに感謝いたします。午後には、「The Future of Financial Services Isn’t What It Used To Be:How Can Incumbent Banks Compete? (金融サービスの未来はこれまでとは異なったものになる:既存の銀行はどのように競争優位を獲得するのか?)」というテーマの下、バンキングサービスの未来について語り合うセッションにおいて、基調演説を行いました。 銀行による顧客エンゲージメント、商品開発、オープンなエコシステムのイノベーションの取り組みについて考察したセレントのPrevisoryおよびその他のレポートをお読みになっている当社のリサーチ顧客の皆さまは、内容の一部についてご存じだったかもしれません。
繰り返しになりますが、FinovateEurope 2024の関係者の皆さま、お招きいただきありがとうございました。また、イベント中に私のために時間を割いて下さった皆さま、そして私をサポートして写真とビデオの撮影をしてくれた同僚のTrinityとLouiseに感謝いたします。また来年を楽しみにしています!